内容説明
夢と狂気と幻想の詩人ネルヴァルが、自死の前年に遺した小説集。ヴァロワの美しい風景と伝説とを背景に、不思議な時間構成をとおして幻想的な愛と悔恨を語る傑作「シルヴィ」「アンジェリック」、イタリアを舞台に描かれた「オクタヴィ」「イシス」などを収めた生前最後の単行本。深い謎の魅惑につつまれた12篇のソネ『幻想詩篇』も収録。
著者等紹介
ネルヴァル,ジェラール・ド[ネルヴァル,ジェラールド][Nerval,G´erard de]
フランスの後期ロマン派の詩人・小説家・劇作家。本名、ジェラール・ラブリュニー。1808年パリに生まれる。1855年没。作品に『東方紀行』『オーレリア』など。20世紀に入ってプルーストやシュルレアリスムによって再評価され、現在では19世紀フランス文学史の最も重要な作家の一人に数えられる
中村真一郎[ナカムラシンイチロウ]
1918‐1997年。作家
入沢康夫[イリザワヤスオ]
1931年生まれ。詩人
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感想・レビュー
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Takayuki Oohashi
6
ネルヴァルの代表作「シルヴィ」を2回読みました。1回目読んで、シルヴィという語り手の思い出の中にある女性の追想なのかな、と思い、2回目にブログで解説しているのを読んで、何となく全体像が掴めたような気がします。二兎追う者は一兎も得ず、という諺の話なのかな、と思いました。分からないんだけど、読みたくなる、そんな感じの物語でした。2015/02/10
かたすみ
3
とりわけ『シルヴィ』が印象的。翻訳のせいか古臭い印象は拭えなかったけれど、悪い意味ではなく、確かに講義などで通読されるに足る作品だなと感じた。痛切なまでに時の流れを感じさせるような、感傷的な描写が胸に刺さる。2015/02/18
刳森伸一
1
ロマン主義の頂点に立つような短篇集といえば、大袈裟かもしれないけど、これぞロマン主義という感じが私にはする。個々の短篇では、「アンジェリック」と「シルヴィー」が一つ頭を抜けていると思う。2019/10/17
秋津
1
ついていける部分といけない部分とがあった。幻想的雰囲気は、部分的にしか読んでいないけど、原文の方があると思う。「アンジェリック」と「シルヴィー」はやはり良い作品だと思うが、「ジェミー」と「エミリー」も新鮮な話で面白かった。2011/06/25
schelle
0
雑な感想だがこの人が死んだときのボードレールの悲しい文が忘れられない2013/06/27