内容説明
ヤクザは人間の根源的状態を体現している―小説執筆の取材を通して深く知ることとなった実在のヤクザたちの真の姿を伝え、警察が参考書にしたと言われる名著。ヤクザは本当に喧嘩が強いのか。なぜ刺青をするのか。ヤクザの妻に美人が多いのはなぜか。博打の実際…など、彼らの掟、作法、仁義、心情、適性、生活源に至るまで、現役最長老の作家が「ヤクザ」の世界を活写する。
目次
1 現代ヤクザの虚妄と真実(ヤクザはほんとに喧嘩に強いか;揺れ動くヤクザ社会の階級制度 ほか)
2 ピンからキリまで、ヤクザの生活源(閉鎖社会の象徴―仁義・刺青;ヤクザの女はモノにしかすぎない ほか)
3 広大な底辺を持つヤクザの中核・博徒社会(世界一けんらん豪華な手ホンビキ博奕;いくら取締まってもギャンブル人間はなくならない)
4 ヤクザ心情は日本人の根源的エネルギー(ヤクザモンにも適性がある;新聞記事のウラのヤクザ二人 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
古古古古古米そっくりおじさん・寺
27
織田作之助と交遊のあった純文学作家・青山光二が記録した昭和のヤクザの姿と社会。このちくま文庫版(2000年9月)が実業之日本社版(1970年10月)以来5度目の刊行。隠れたロングセラーか。何となく三角寛のサンカものを思わせるようなルポルタージュで、民俗学的に面白い読物。昭和半ばくらいは幕末と地続きなのだとつくづく思う。かつて映画の題材にされた時代のアウトローの世界がここにある。今ではすっかり変容しているに違いない。きっと溝口敦『暴力団』(新潮新書)あたりを読めばその変容がわかるのだろう。2014/05/22
儚俣
4
雑記録。2000年発刊なのに内容が古いなと思ったら、書かれたのは70年。古き良きヤクザ世界。まだ博徒系だとか的屋系だとかにこだわりと自負のあった時代。今ではもう書けない好意的な本。2017/03/07
魔威駆
1
ヤクザが見栄で生きているという事をあれやこれやで説明している本。彫り物が摂取した栄養如何で色が鮮やかになるかどうかという所だけ印象に残った。スケコマシなど個人的に気に入らないところもチラホラあった。年々暴力団の習わしや活動内容が衰退の一途をたどっていると、西暦2000年に入る前に出版されたこの本の著者は見ており、暴対法が通されたこのご時世はもっと萎縮してんだろうなと思った。2017/03/25
ひもけん
0
刑務所の壁を綱渡り2025/03/28