ちくま文庫<br> かみそりの刃〈下〉

ちくま文庫
かみそりの刃〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 329p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480030054
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

イザベルの叔父で上流社会に出入りすることを生き甲斐とするエリオット。イザベルの幼なじみで、非業の最期をとげるソフィ…。人物描写鋭く、次々と展開してゆくストーリー。その中に人間の根源、人間本来の生き方を鋭く問う著者晩年の傑作小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ

33
ラリーを初めとする仲間の面々、どうしても高等遊民と云う香りが濃く立ち込め、何とも優雅な19世紀の雰囲気を味わえた1冊。モームがある意味、枯淡の境地に辿りつき、人生の達観の心境を根底に据えて執筆した感触が強い。中盤過ぎて「この章は飛ばして読んで貰ってもいいが・・」と云う個所がなかなか面白く、読者を手玉に取っている感がある。この時代の英、仏はともかく、インドが筆者のイメージしたそれとは大きく異なっているのも時代を経て名作に触れられた特権かと感慨深い。時代を経ても伝えんとする哲学は健在。2015/05/29

春ドーナツ

15
古物商から購入。表紙カバーが本体に糊付けされていた。1985年に発表された或る小説の主人公(たぶん35歳)が17歳の女性に「最近の小説でおすすめはなあに?」と問われる。そこで本書が紹介される。しかも3回読んだという。浅学な私は知らない題名だった。過日再読したときにメモを残した(読書への誘い。冒頭に戻る)一読して思ったのは、あくまで個人的な感想で、人それぞれ色んなご感想があられるだろうことを前提にして、3回読んだというのは冗談だったのではないか、という深読みも可能だということ。僭越ながら経験者は語るです。2021/12/07

ふぁきべ

7
上巻と比べるとややペースは落ちたが、人生とはなんぞや、という抽象的な思想を織り込みながら、娯楽性を失わない完成度の高い小説。モームはよく、死人の人生を振り返って「無駄」と形容する。常識的に考えると罰当たりな、と思うところだが、すなわち無駄というのは人生に普遍的な意味や目的などないという意味で、無駄なのだ。あくまで人の人生の目的というのは個人的で、ほぼあらゆる人が生きている普遍的な理由がない以上、その人が存在しなければいけない理由などない、というわけだ。2014/05/07

oanchan

4
最初から最後まで淡々と物語が進んでいく。後半は事件も起きるけど、それでも淡々と、第三者の目で色々な人物が描かれている。結局、自分の想像力が試されているような気がした。自分が想像しないと登場人物の心の中が見えないから。人生に何を求めて、どう生きるのか、考えさせてくれる。2016/08/26

壱萬参仟縁

4
「ぼくら西欧人は、無数の発明、工場と機械、そしてそれらが生産するものをもって、物質上の幸福を求めてきた。だが、決してそんなものに幸福はない。幸福は精神的なものの中にこそあるんだ」(244-45ページ)。インド人との比較をする箇所がある。図書館の意義が書いてあり、「ぼく(ラリー)は、生きて行くだけなら、ほとんど金はかかりません」(249ページ)という。ガソリン代、コピー代はかかるけど。物質文明、俗物根性、拝金主義、と人間性の堕落例は枚挙に暇がないものの、現代はインド人も富裕層はいるので、地球大の格差が問題。2013/02/12

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