ちくま文庫<br> とりかえばや物語

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ちくま文庫
とりかえばや物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 265p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784480025975
  • NDC分類 913.385
  • Cコード C0193

内容説明

時の権大納言には2人の妻と2人の美しい子供があった。優柔で羞恥心が強く女性的な若君と、活発な遊びと学問を愛す男性的な姫君。その傾向は年とともに顕著になり行末を案じた父は、姫君と若君をとりかえて育てることを決意する。やがて若君(姫)は右大臣家の婿となる。そして妻は妊娠…。人間が胎内に宿している儚なさ、頼りなさを奇抜な発想で描いた王朝末期の文学が雰囲気のある現代語訳で甦る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Gotoran

22
平安末期に、一夫多妻、通い婚等が常識の王朝貴族社会で、異母兄妹(内気で大人しい女性的な若君と快活で男性的な姫君)が入れ替わり元に戻り出世してゆく物語。どちらかというと、男装した姫君が主役か、男として育てられ、成人して貴族社会に出て行き、関係する女性・男性との色恋沙汰で、思い悩みつつ、最終的には女性として中宮へと上り詰める。悩める主人公と登場する女性に対して好色・多情で大らかな男性という印象。要所々々の和歌とその返歌に優美さを感じつつ、また既読の河合著書「とりかえばや、男と女」を想起し、読み進めた。2013/05/26

白のヒメ

19
超美形の兄妹、兄は恥ずかしがり屋で引っ込み思案、妹は男勝りでやんちゃ。親の右大臣は周りの誤解に流されて、兄を女として妹を男として育ててしまう。宮廷に上がったら人気者になる兄妹。官位もぐいぐい上がっていく男装の妹に縁談話が来てしまう。さてさてこの兄妹の行く先は。平安時代の作者不詳の物語。源氏物語と同じく平安デカダンが全ての登場人物達を包み込み、あの独特の雰囲気がある。ストーリー展開が奇抜なので面白く読むけれど、内容は浅いかな。やはり紫式部に勝てないから作者が不詳のままこの物語は伝わっているのだろうな。2014/01/09

松本直哉

17
瓜二つの美しい異母兄妹が、生来の性に違和感を持ち、性を取り替えて生きるお話。出世につれて肩書が変るので筋を追いにくく、ぼかした書き方なので恋愛関係になったのを読み飛ばしていつの間にか妊娠していて、あれ?となったり…結局、つづけて二回読んでようやくどんな話か理解した。源氏物語もそうだけどこういう王朝物語は読むのが苦手で、原典はとてもむりなので現代語訳で。本当に魅力的な人は、男性性と女性性をあわせ持つ人なのだなあ。最後までだまされつづけた中納言が哀れ。掛け持ちしすぎた報いなのだろうけれど。嫋嫋とした感傷主義。2014/09/27

くり坊

14
中村真一郎の現代語訳(これもすでにやや古めかしい現代語ではありますが)の『とりかへばや物語』。さすがに作家の訳文なので、講談社学術文庫の現代語訳コーナーよりはずっとスラスラと読めました。一気に物語を通読したいときにはとても良いようです。原文にもかなり忠実だし。(でも、原文と合わせて愉しむなら、やっぱり講談社学術文庫版の桑原先生の訳文が好きかも。逐語訳っぽい、解説を読まないとところどころ意味不明な現代語訳が意外に面白い。) //先月からの「とりかへばや」マイブーム、とりあえずこれで一旦終了。面白かった。2015/02/09

CCC

10
解説にはいろいろ書かれていたけれど、小説として普通に面白くて完成度が高いのではと思った。男女入れ替わりという現代のフィクションでは馴染みのあるネタ。だけど思考や価値観が昔の人なので、話がどう転ぶかわからなかった。ただ部分的には時代ギャップを感じない思考や葛藤もあり、メロドラマと個の話の間を揺れていたように感じた。2022/05/21

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