内容説明
リトル・ドリットの父親の急死により、ようやく訪れた幸わせも長くは続かなかった。そのうえ愛するアーサー・クレナムは破産をし、獄中生活をおくることになる。クレナム家敷の崩壊、獄中での病気…。絶望し自暴自棄になるアーサーと、献身的な愛をささげるリトル・ドリットの行末は?全4巻完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
35
この作品の冒頭はマルセイユの監獄、リトル・ドリットが生まれ育ったのはマーシャルシー監獄、少年アーサーは母から自由を拘束されて育ち、タティコーラムは嫉妬という牢獄に閉じ込められ、家出したものの今度はウェイド嬢という牢獄に苦しめられる。人は誰もが何らかの牢獄に閉じ込められており、その牢獄をどう感じ、どう対処していくかによって性格や生き様が大きく変わっていくと、この作品を通してディケンズはいっている。2015/12/01
ごへいもち
21
読了。もっと挿絵が見られたらなぁ。大英博物館のHPでも検索すればいいのかもしれないけど。最初は嫌な人かと思っていた登場人物がナイスだったり(読書力がないためかも)。あとがきは私にとっては蛇足。楽しいエンターテインメント小説が研究対象としていじくられてもなぁ(昨夜は大雨、今朝は爽やかそう?気付いたらキッチンの窓の外に薔薇がいっぱい咲いていた、いつのまに…)2012/05/18
秋良
11
収監されたアーサーのいる債務者監獄と、隠されていたクレナム家の秘密が明かされるクレナム邸、二カ所をメインに話が進む。強引な展開やとっちらかった気配もするものの、秘密が暴かれる時の緊迫感やドラマの盛り上げ方はさすが。解説の全人類が世界の囚人のくだりはなるほどと思った。誰もが環境や思い込みに囚われている。2022/08/05
まふ
7
全体的にディケンズとしては最も暗い小説で、舞台がマーシャルシー監獄、マルセイユの監獄、人間味のない母親と暗い陋屋、ウェイド嬢というニヒルな娘、迂遠省という何もしない官僚組織、嘘の充満した上流社交社会、巨額の詐欺犯に引っかかる著名人、これらがぐじゃぐじゃと描かれ、極めて不愉快な小説であった。最後はリトルドリットと純真だが生活力のないアーサークレナムとが結ばれるが、カタルシスが薄く、読者としては気分の晴れないままに終る。著者後期の長編というが、メリハリのすっきりとしない物語であった。2019/12/03
ホレイシア
6
達成感は得られますが、「荒涼館」のように読み返すところまではいかないですねー。2008/01/05