内容説明
ハイド氏が街角で少女を踏みつけて去り、あの有名な『ジキル博士とハイド氏』の奇妙な物語は始まったのだったが、ここではジキル博士ではなく、ハイド氏がすべてを語るのだ。なぜハイド氏はあのような事件を起こしたのか?そして事件の結末は?思いも寄らぬことにそこには、あのシャーロック・ホームズも登場し、意外な展開を見せる。フランスにおけるスティーヴンスン研究、ヴィクトリア朝文学研究の第一人者ノーグレットによる、二重のパスティッシュ。巻末に彼自身による「ジキル&ハイド」論を併録。
著者等紹介
三好郁朗[ミヨシイクロウ]
1939年生まれ。京都大学大学院博士課程(仏文学専攻)中退。現在京都嵯峨芸術大学学長
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感想・レビュー
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Jun Shino
3
ハイド氏目線で見た「ジキル博士とハイド氏」の物語。しかもシャーロック・ホームズが登場する。長編第2作「四つの署名」と絡む。このパターンは非常に珍しい。 ハイド氏といえば「少女踏み付け」のエピソードだがその真相とか殺人の情景、最大の読みどころは殺人からラストまでの激しい冒険、とも言えるものだ。エキサイティングで原作の裏側を読んでるな、という感覚も味わえる。そして原作に出て来ていない人物がカギとなる。んー、また謎が残るじゃんという終わり方だった。著者はイギリス文学者でスティーヴンスンの専門家だとか。ほー。 2018/09/24
もすら
0
後ろについてる作者自身による論文が白眉。『ジキルとハイド』というテクスト=神話はいかにして重層的なものとなったかを示していく。そして、最後にこのテクストを成り立たせるパラダイムを明かしていく手付きが素晴らしい!2024/06/27
悸村成一
0
読了129冊め。小説「ハイド氏の奇妙な事件」、評論「テクストの生成、ある神話の青春」「訳者あとがき」。2022/12/28
ニョンブーチョッパー
0
△2006/03/15
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