内容説明
ギリシア人、イタリア人、メキシコ人、アルメニア人…。さまざまな国から海を越えてやってきた移民たちを受け入れる国、アメリカ。子どもたちは仕事場で、街で、学校で、人生という厳しくもどこかこっけいな現実を、手さぐりで確かめながら生きてゆく。アルメニア系二世であることを誇りとするサローヤンが、自らの少年時代の思い出をこめて描く17篇の少年物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
25
17編の短編集。アメリカの貧しくてささやかな仕事で何とか生活している人々について。アルメニア、メキシコ、ユダヤ、ギリシアなどの移民の住む地域での貧しい暮らし。あまりに貧しいのでお金以外の幸せを見つけようとしているが、あまりうまくいかない。人より頭が良くて勉強ができても、そこから抜け出す術を教える人はいない。結婚して家族を持っても、貧しさは増すばかり。アメリカン・ドリームとは縁が全くない社会で、オー・ヘンリみたいに少しの喜びと哀しさが何とも不思議な味わい。サローヤンが描く小さなアメリカである。2018/12/04
秋 眉雄
19
『ときどき、マイクは立ち上がって、シャドーボクシングをはじめるけど、前のようではなかった。もう幸せではなかった。』サローヤンの描く少年たちに呆気なく起こる出来事。それらはやはり呆気ないほどの日常として続いていきます。さほど手応えを感じていないのに、気付くとズシリと重たい何かを手渡されているかのようでした。吉田ルイ子さんの翻訳。英語しか知らないアメリカ人が、英語の原書でサローヤンを読むのって、もしかしたらこんな感じに近いのかもしれないなと思います。2017/05/21
斑入り山吹
5
えっ?ここでおしまい?というような話もあった。少年の本質を表しているような気のする話もあれば、この話の時代と場所を表しているような気がする話もあった。移民の立ち位置というものを具体的に知ることができた。なんだか切ないね。 しかし、サローヤン氏のほかの話を読みたくなったか、と問えば、うーん、他に何も読むものがなくなったら読むかもしれない、というくらい。すみません、こんなんで。2015/09/27
zoros
2
精一杯働いてなんとかやっていける人々の喜び、優しさ、誇り、過ちを優しい目線でとらえています。 『スピードウォーレス』『グラント将軍と世界一周旅行』がよかった。2017/12/03
なおっちゃん
2
藤田さんの本。言いたいことは分かる気がするけど今の自分にはあまりはまらなかった。2014/02/16
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- 和書
- 多聞寺討伐 ハヤカワ文庫