内容説明
中国ナンバー2による毛沢東暗殺計画。発覚後、専用機で亡命を図り、モンゴルで墜落。いまだ謎を残すこの事件を追跡し、モンゴル、中国各地で関係者に取材。その深層から見えてきた、最高指導者・習近平による強権政治の背景、中国共産党の真実!
目次
プロローグ―なぜ今、林彪事件なのか
第1章 その夜、いったい何が起きたのか
第2章 中国ではその夜、何があったのか
第3章 林彪はなぜ、亡命を目指したのか
第4章 事件の後、何が起こったのか
第5章 今、習近平がやっていること
第6章 よみがえる文化大革命
エピローグ―これから中国で何が起きるのか
著者等紹介
古谷浩一[フルヤコウイチ]
1966年、神奈川県生まれ。朝日新聞論説委員。1990年に朝日新聞社に入社。前橋支局、大阪社会部、外報部などを経て、上海、北京、瀋陽の特派員に。2012年‐13年に東京本社国際報道部次長、2013年‐18年に中国総局長。中国・南京大学(1993年‐94年)、韓国・延世大学(1997年‐98年)にそれぞれ研修留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
58
”林彪事件”といっても、もはや若い人は知らないのでは?と著者も案じる。文革のさなかに発生した党序列No.2の林彪副主席によるクーデター未遂事件。1971年9月、専用機で逃亡を図った末、モンゴル国内で墜死。事件自体も、しばらくの間極秘にされていた。文革終結後、建国後の多くの権力闘争の内幕が徐々に明らかにされたが、何故かこの事件の説明には納得がいかない。著者もその想いから謎にせまる。個人崇拝の萌芽がみられる現習近平体制にも言及。全ての謎は民主的に指導者の交代ができない共産主義体制の本質的欠陥に行き着くのでは。2019/05/26
TATA
31
高校生の時になにかの本で大躍進運動と文革のことを知り衝撃を受けた。その後、「ワイルドスワン」や「大地の子」を読んだのだけど。さて、その中国現代史でも最大の激震でもあった林彪逃亡劇。丁寧な取材で詳らかにしていく試みも却って中国の複雑さと現在の中国が抱える問題を浮き彫りに。文章のあちこちに記者さんの思いが見て取れて、読者はこれをきっかけに今の中国のことを考える糸口を掴める著作だと思います。2020/08/16
nagoyan
15
優。毛沢東の後継者とされ中国共産党副主席という地位にあった林彪がクーデター計画の露顕後、ソ連への亡命途上モンゴルで墜落死したとされる事件を追う。文体はジャーナリスティック。著者は朝日新聞中国総局長であった。第1章は事件当夜のモンゴルで、モンゴル側、中国側の動き。第2章は事件当夜の中国での動き。第3章は事件に至る中国共産党内の権力闘争の動き。第4章は事件後の中国共産党内の動き。第5章は林彪事件を受けつつ習近平体制の実相を。第6章は中国国内での毛沢東主義の復権の様相を描く。2020/07/26
かんがく
12
林彪事件と文化大革命から現代中国を見る。ミステリのような書き出しでワクワクしたが、最終的には話があちこち飛んでとらえどころがなかった。2024/04/21
パトラッシュ
5
失政で権力より排除された毛沢東が復権を図って起こした、中国史上最悪の政治惨劇である文化大革命。毛の忠実な後継者のはずだった男が反逆した挙句、逃亡し墜落死したという林彪事件。情報が錯綜して不明点の多い事件を、記者らしく関係者への豊富な取材と現場感覚でわかりやすく伝える筆さばきは見事だ。中華人民共和国は毛沢東の個人国家であり、その死後も毛の呪縛にとらわれている実情を教えてくれる。習近平も文革の負の遺産による共産党独裁崩壊を恐れ、強権を振るっている実態が見えてくる。朝日新聞にも常識と良識ある人がいると知れる本。2019/07/02
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