内容説明
旨い酒にはドラマがある。心を熱くする物語がある。蔵元を巡って20年、気鋭の酒ジャーナリストが綴る魂を込めて醸す男たちの、愛と涙のルポルタージュ。
目次
第1話 「喜久醉」青島孝―ふるさとの米と水で醸す甘露なる一滴
第2話 「醸し人九平次」久野九平治―世界を舞台に闘うデッカイ男の一滴
第3話 「凱陣」丸尾忠興―ただ独りで醸す“日本酒”を超えた日本酒
第4話 「王祿」石原丈径―神々の故郷、出雲で挑む魂の酒造り
第5話 「奥播磨」下村裕昭―大人の色気漂う燻し銀の名酒
第6話 「十四代」高木顕統―日本酒新時代の誉れ高きプリンス
第7話 「飛露喜」廣木健司―若々しさ漲る次世代型の味わい
第8話 「秋鹿」奥裕明―米からの「一貫造り」が生む稀代の食中酒
第9話 「磯自慢」寺岡洋司―輝き続ける日本酒界永遠のスター
著者等紹介
山同敦子[サンドウアツコ]
食と酒のジャーナリスト。JSA認定ソムリエ、SSI認定きき酒師。東京生まれ、大阪育ち。上智大学文学部卒業、新聞社を経て、出版社に勤務。編集者として元・吟醸酒協会会長の篠田次郎氏と全国の酒蔵を訪問したとき、造り手の姿勢に感銘を受けて独立。フリーランスの食と酒のジャーナリストとして、日本酒蔵、焼酎蔵や海外のワイナリーなどの取材を続けている。多くの雑誌に執筆するほか、テレビのレポーターや講演なども行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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kuirou
4
お酒の本と言えば、酒造りの解説本や、プレミア酒のカタログみたいで、はっきりいって読んでもあまり面白くない。ところが、山同さんの本は、酒の造り手に焦点を当てて、そこに自分の思いを織り込んでいく、スッと入っていけて、それでいて後を引く読後感。読んだらお酒を飲みたくなること請け合いです。特に、『富乃宝山』(焼酎)西さんと『十四代』高木さんの、共に天下を取ろうと誓い合ったというくだりは、映画化しても良さそうな、いいお話です。2010/12/25
green
3
愛と情熱をもって日本酒を造る蔵元(9つ)のドキュメント。量じゃなくて品質に注力することにより、今までより量が減ったり、特定の酒屋としか取引できなくなったりする。通販などで入手するととても高価だが、蔵元のおろし値は通常の値段で、希少性から流通過程で価格が跳ね上がっているのは残念。十四代他、有名な蔵元の方もみんな、酒造りの期間は1日も休まず、いいお酒をつくることに専念しているのには頭が下がります。2015/05/11
おばりん
3
なんだか勿体なくて一日に一人の話と決めて読みました。あ~美味しいお酒と日本に感謝です。2011/10/16
マサトク
1
大変面白かったし、ちゃんと芯のある取材をされていて頭が下がる。基本的には銘醸蔵への取材と酒のレビューの混交ではあるのだけど、そこにリアリティがあるのが良い。驚きがあったのだろうな、ということが見える。基本的には日本酒の「ニュー・ウェーブ」と言うべきか、新しいことをやり品質的にも躍進している若手が経営する蔵、をメインに取材していて、そこが読み手(私)の注目する蔵とシンクロしていた故にさすがと感じたところはある。もちろん、あの地方もこの地方も取材が足りないのでは、等の不足はあるが、それは贅沢だろう。良書。2022/07/09
ホリエンテス
1
大手酒造メーカーの下請けのノンブランド商品から、こだわりを持ったブランド商品を造り上げるまでの物語。メーカーとしての誇りが感じられる。2015/12/26