出版社内容情報
〈千年のみやこ・京都はソフトパワー「京都力」で溢れている。〉
〈一味違う京都本。ソフトパワー「京都力」を通して、京都の過去・現在そして未来を分析する。〉
令和の時代に入っても京都の企業や大学、寺社、老舗が持つ存在感や内外の多くの人々を惹き付けるソフトパワーについて、「企業」「伝統産業」「大学」「宗教」「ソフトパワー」の5つの側面と京都の各界のリーダーのインタビューから読み解きます。
1,000年以上の歴史を持つ京都が放つ様々な力を、各所の取材と活躍する人々の声を通して、現在的視点でとらえる一冊です。
読売新聞大阪本社版の連載「京都力」(2021年4月~22年12月)の単行本化。
内容説明
世界に向けて希有な存在感を放つ千年の都・京都。経済力は日本のGDP(国内総生産)の2%に満たないにもかかわらず、数々のグローバル企業が集積し、世界中から多くの観光客を引きつけてやまない。この卓越した吸引力は何によってもたらされているのか。見えるようでいて見えにくい古都の魅力の実相に、読売新聞の経済記者たちが迫った。「第30回坂田記念ジャーナリズム賞特別賞」を受賞した連載企画「京都力」を再構成して書籍化。
目次
第1部 企業の強み
第2部 老舗×現代
第3部 大学パワー
第4部 宗教と経済
第5部 ソフトパワー
京都力インタビュー
INTERVIEW広論 京都を牽引する企業人のまなざし
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中峰和
7
関西から横浜への異動で感じたのは地元の大企業ディーラーや販売系が多かったこと。横浜は首都のコバンザメ感が強いが、京都は先端企業が多い。大学の数が多く産学共同に適していたのもあるのだろうが、首都を東京に奪われての奮起を忘れてはならない。浄土真宗の総本山、他宗派を圧倒する西本願寺と東本願寺もあって、無宗教の時代を生き残るため、情報戦にも積極的だ。寺院運営にビジネス視点を取り入れるため、金融界のコンサルタントをトップに採用している。京セラの故稲盛氏が再見した日本航空のトップが片岡千恵蔵の息子とは知らなかった。2024/09/20
るるぴん
3
図書館推薦本。棚にあってタイトル借り。京都に世界的企業が多数存在するのは、社寺仏閣が多数あるために伝統的産業の技術力が高い。土地が狭いため、大規模工場には向いておらず、小規模先鋭のものづくりが得意。地元のパイが小さく初めから世界を意識したビジネス。京都という場所柄世界からの感心も高い。今でも続く料亭文化など人との繋がりも濃く人材豊富。成功した企業家が次のベンチャーに出資する流れがある。日本では下火の造園工事は海外のラグジュアリーから人気らしい。植彌加藤造園とか知らなかったが感心が湧いた。2025/02/09
ちなまい
2
「ほんまもんかどうか」が事業をする上での基準。人間性を見抜こうとする姿勢、慮りを細かくしていてもそれを見せないことを美徳とする風習。緊張感ある空気の中で生きていることを感じた。「古き良き」と悪い意味を込めて言われることはあるが、変化を続けていることをあえて見せつけていないだけ。けれども、今後はどう見せるのか、が必要になってくるのでは、とも思う。2023/09/24
sa10b52
1
街を歩くと京都には独特の空気があると感じる。職人の細部にこだわる姿勢、おもてなしや利他の考えが歴史から育まれている。東京一極集中や観光公害のような逆風はあるだろうが、日本を代表する都市の一つとしてこれからも存在感を放ってほしい町。2025/03/02
Masaki Iguchi
1
大学や企業の取材を通して、進歩的な京都像を浮かび上がらせる一冊。小粒でも確かな仕事ができる実力派企業が多いのがいかにも京都という感じ。2023/10/17