出版社内容情報
木の実の形態はじつに多様で、あるものは翼を持ち、あるものは羽根を持ち、またあるものは綿毛を持って空を翔け、あるものは浮きを使って川や海を旅する。バネ装置やねじれ装置を使って自ら弾け飛ぶもの、鉤爪で動物たちにひっついて連れ出してもらうもの、蟻や鳥などにご褒美を携えてその身をゆだねるものもいる。人間にとっては災害としか思えない山火事ですら、耐火性を備え、繁殖のチャンスに変えるものまで存在する。
本書は、果実や種子のうち乾燥して保管できるものを広く「木の実」と捉え、驚くべき機能美・造形美にあふれた世界の木の実の中から、ビジュアルのユニークさや、植物の営みのふしぎさを感じてもらうことを優先して厳選した約300種を、美麗な撮り下ろし写真とともに紹介する。
第1 部「あつまる」では、植物分類学上同じ仲間に属する木の実を種類ごとに集め、それぞれの造形のバラエティを楽しめるようにした。第2 部「ひろがる」では、植物が繁殖のためにとる木の実の様々な移動手段に着目してグループ分けをしているので、生物進化の妙を特に感じられる。第3 部「かたちづくる」では、棘や凸凹といったテクスチャに注目したり、別の事物に見立てたりして、木の実の個性豊かな形態を紹介している。
すべての木の実には基本情報から雑学もまじえた解説を付すほか、植物分類学の変遷や進化について、世界の木の実分布や活用方法などのコラムも充実。収録種数、独自の構成、迫力ある写真・レイアウトなど、他に類をみないビジュアル木の実図鑑である。
内容説明
変で、愉快で、美しい。植物が進化の末に獲得した果実・種子の驚くべき機能美、造形美を約300点の高精細写真とともに紹介する、かつてないビジュアル図鑑!
目次
第1部 あつまる(ドングリの仲間;クルミの仲間;セコイア3兄弟 ほか)
第2部 ひろがる(風に舞う;回転しながら落ちる;動物にひっついて移動する ほか)
第3部 かたちづくる(鱗をまとう;棘をのばす;ひねる・ねじれる ほか)
著者等紹介
小林智洋[コバヤシトモヒロ]
1978年、京都生まれ、軽井沢育ち。早稲田大学第一文学部哲学科東洋哲学専修卒業。食品商社での勤務を経て、実家のジャム店「ジャムこばやし」を継ぐ。ひょんなことから木の実の面白さ、可能性に気づき仕入れを始め、2010年に東京の古本屋で木の実販売会を初開催。以降、本業のかたわら「小林商会」として世界の木の実を収集し、ギャラリー展示やイベント、インターネットなどで販売している
山東智紀[サンドウトモキ]
1976年、和歌山生まれ。九州東海大学大学院農学研究院博士課程前期農学専攻修了、大阪大学大学院工学研究科博士課程後期応用生物工学専攻修了。緑花文化士。幼少の頃から多肉、食虫植物、ラン、シダ、コケ、イネ科など広範な植物に興味を持つ。大学での「イチョウの核形態学的研究」や「パラゴムノキにおける天然ゴムの生合成と蓄積に関する研究」の傍ら、各地の植物や巨樹の探索を行い、研究室主催の「緑からのメッセージ展」などの普及活動を主導。2010年よりタイに移住し、世界中の木の実の収集や動植物の観察を続けている
山田英春[ヤマダヒデハル]
1962年、東京生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。書籍の装丁を専門にするデザイナー。本業の傍ら、瑪瑙などの模様石の蒐集、古代遺跡・先史時代の壁画の撮影を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
kinkin
たまきら
二戸・カルピンチョ
愛玉子