感想・レビュー
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ゐ氏/きたの
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主に、大塩平八郎が騒動を起こしたその背景や役人としての平八郎の社会観を追う。平八郎にとっての陽明学という思想の中身を期待してただけに少し期待はずれだったが、為政者であったためあくまで実践の学に重んじた平八郎の姿がわかりやすく描かれていて面白く読めた。平八郎が他の儒者を机上の空論ばかり述べるものとして白眼視していた姿勢には関心が惹かれる。平八郎があくまで実践を重んじたのは、彼が寄るところが陽明学であったことや彼自身の立場の他に、大坂という商人の町を思想の舞台としていたことにもあるのではないかと感じた。2015/07/30