内容説明
いまや要件事実論は、単に民事訴訟の手続論・技術論としてではなく民事実体法の解釈・適用に関わる理論として、民法学の一員に位置づけられ始めている。本巻は、民法学と要件事実論との協働が緊密になってきた現状に鑑み追加企画としてまとめたもので、本講座の掉尾を飾る珠玉の論稿を収める。
目次
要件事実論の変遷と今後の展望―実体法の制度趣旨との関係を中心として
新たな権利の形成・新たな紛争の解決と要件事実・要件事実論的思考
評価的要件の判断構造についての考察―権限外の表見代理における「正当理由」を題材として
法律行為論と要件事実
物権的請求権と要件事実
物権変動の対抗要件と要件事実
債務不履行に基づく損害賠償請求と要件事実
無償契約としての「贈与契約」の要件事実
民法における因果関係の要件事実とその構造―評価的要件という視点から
債務不履行と不当利得の要件事実―因果関係を中心として
不法行為に基づく損害賠償請求の要件事実―過失及び違法性
消費者法と要件事実―消費者契約法の人的適用範囲を中心に
著者等紹介
伊藤滋夫[イトウシゲオ]
昭和29年名古屋大学法学部卒業、同年司法修習生。昭和31年東京地・家裁判事補。同36年米国ハーバード・ロー・スクールマスター・コース卒業(LL.M.)。同41年東京地方裁判所判事。以後、東京高等裁判所部総括判事などを歴任。平成7年退官。その間、司法研修所教官、司法試験考査委員なども務める。現在、創価大学法科大学院客員教授。法科大学院要件事実教育研究所長。弁護士、博士(法学)名城大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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