出版社内容情報
フランスで生み出された、認知症高齢者が穏やかな人生を取り戻すケア技法「ユマニチュード」の考え方を余すことなく紹介する。「介護する側もされる側も、
どれほど多くの人々の心に
希望の光が灯ることでしょう」
――エッセイスト 阿川佐和子
(「週刊文春」2016年8月4日号
<阿川佐和子のこの人に会いたい>より)
―「優しい心」は「優れた技法」に宿る。そしてそれは誰もが体得できるものである。―
寝たままの姿勢で行う清拭は、「寝たきり」を助長してしまっていないだろうか?
入浴を嫌がるのは、本当にその人自身に問題があるのだろうか?
徘徊は転倒の危険性があるから、身体拘束や向精神薬の投与はやむを得ないのか?
私たちが良かれと思って行っているケアは、高齢者の健康維持を害してしまっているのかもしれません。
人が人に寄り添う病院やホームなどのケアの現場では、こうした「哲学」ともいえる問いが不可欠なのです。
フランスで生み出された、認知症高齢者が穏やかな人生を取り戻すケア技法「ユマニチュード」。
本書は、その考え方と技法の実践を開発者自らが語り下ろした本です。
・攻撃的、徘徊などの問題行動が減った。
・身体拘束や向精神薬の量が減少した。
・適切なケアレベルの設定により、患者が寝たきりになることがなくなった。
・スタッフや家族の負担も軽減。専門職の離職率が大幅に改善した。
「ユマニチュード」を導入した施設では、こういった「魔法のような」症例が数多く報告されています。
フランスでは400以上の病院やケアホームで導入され、すでに日本を含め数か国で実践されています。
この技法は、「顔の正面から同じ高さで目を合わせる」「何をしているか実況するように伝える」「腕を上からつかまず、必ず下から支える」などの確立された具体的な技術と、「ケアする人とは何か」「人とは何か」という哲学から成り立ちます。
本書では、なぜユマニチュードが生みだされたか、また、ケアにおいて「なぜそうすべきなのか」「なぜその方法に効果があるのか」という根拠をやさしく丁寧にひも解いていきます。
介護・医療の現場、そして認知症高齢者のいる家庭にて、誰もが実践できるケア技法の本質を、技法の開発者本人の体験や、患者さんのエピソードを交えて紹介していきます。
プロローグ
第1章 ユマニチュード誕生前夜
人生でいちばん大切なものは何?
それを見ていた誰もが「奇跡だ」と言った
看護師が患者に話をする時間は、一日に平均120秒
ベッドでの清拭をしない研究をはじめる
ケアに必要なのは感情と優しさ?ユマニチュードの哲学の基礎……ほか
第2章 認知症高齢者は暴力的か?
「本人にとっていいことをしているはずだ」という思い込み
触れる場所には順番がある
「視覚のトンネル」という落とし穴……ほか
第3章 私たちが権利を失うとき
高齢者になると誰もが失うもの
身体的な依存関係は自律を妨げるものではないなぜダブルベッドが用意できないのか
病を治すのは患者自ら……ほか
第4章 ケアをする人とは何者か
病変ではなく、相手を見る
自己犠牲の精神は、相手の権利を尊重しているのではない
抑制は「世界人権宣言」に反する
尊重とは、相手を人間として認めること
ユマニチュードはその人の“いま”に注目する……ほか
第5章 ユマニチュードに迎え入れる
人間の第2の誕生
見ないとは、「あなたは存在しない」と告げること
沈黙のケアの現場に言葉をあふれさせるための技術「オートフィードバック」
体に触れることは、脳に触れること
人は死を迎える日まで、立つことができる
ユマニチュードの絆に呼び戻す?第3の誕生とは
人間関係をつくるための5つのステップ……ほか
エピローグ
イヴ・ジネスト[イヴ ジネスト]
著・文・その他
ロゼット・マレスコッティ[ロゼット マレスコッティ]
著・文・その他
本田 美和子[ホンダ ミワコ]
監修
感想・レビュー
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