内容説明
徳川綱吉の行列が襲われた。甲府徳川家の家臣の仕業だ。綱吉に被害は及ばなかったものの、館林徳川家は報復として桜田館を襲う。将軍継承をめぐる弟たちの争いを憂慮した四代家綱は、誰よりも信を置くお髷番深室賢治郎を密使として両家に差し向け、事態の収束を図る。しかし継承問題は血で血を洗う惨劇に発展。家綱を、江戸幕府の泰平を賢治郎は守れるのか。すべてはその小太刀にかかる。書下し時代長篇。
著者等紹介
上田秀人[ウエダヒデト]
1959年、大阪府生まれ。大阪歯科大学卒業。現在、大阪府下にて歯科医院を開業。97年に「身代わり吉右衛門」で桃園書房主催第20回小説クラブ新人賞佳作、2010年に『孤闘立花宗茂』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
82
お髷番承り候「血族の澱」 3巻。お髷番深室賢治、久々に読み終えました^_^;家綱から唯一信頼されている深室賢治益々政争にに巻き込まれて大変ですが、最後はどんな結末で終わるのか楽しみです。 2021/09/15
オーウェン
45
シリーズ3作目は、より混迷になる家綱の後継ぎ争い。 綱吉の行列が襲われたことで、家綱は2人の後継ぎに極秘に情報を伝える。 それを託されたのは賢治郎だが、その特命を巡りお互いの陣営が賢治郎に揺さぶりをかけていく。 腹違いの兄や、嫁の義父まで躍起になって特命を聞き出そうとする始末。 終盤は浪人が数合わせで賢治郎を仕留めようとする。 そこに助けに現れる人物。 そして新たに後継ぎ争いに名乗り出ようとする人物。 より賢治郎は板挟みの展開になっていく。2023/07/12
Tatsuhito Matsuzaki
13
第四代将軍将軍家綱より、お小納戸月代御髪係(お髷番)に抜擢された深室賢治郎が、将軍位略奪を狙う強敵と闘うシリーズ第三作。 五代将軍継承を目論む甲府徳川家と館林徳川家の対立が激化するなか、それを収束せんと家綱の密使となった賢治郎の身に絶体絶命の危機が迫り、そこに思わぬ助っ人が登場する。 更には、将軍家の兄弟骨肉の争いにもう一人、神君家康公の子で唯一生き残っている紀州徳川頼宣が動き出す…。 後の歴史の結末を知る身としては、どう落とし前をつけるのか?著者の筆さばきに期待しています。 #風心流 #小太刀 2024/05/18
chacha
9
シリーズ3 将軍に我が子、わが主君をしたい人たちの争いはついている家臣のできによるのかなぁ。家綱も賢治郎の使い方が下手というか、甘い考えで、阿部豊後守に叱責される。そうよね、賢治郎このままでいくと体がいくつあっても足りないよ!戦がなくなって平安な世は武士にとって仕事が無いのだから、旗本、御家人なんて、生きていけなくなるよね。考えればわかることなのに。婿養子て辛い立場ね。三弥がきぜんと「わたくしとの婚姻は破談になっておりませぬ」といい放ったのはかっこ良かった!次は頼宣が江戸に戻ってくるのか、さて気になる。2017/03/22
はかり
8
シリーズ3巻目。将軍家綱の二人の弟が将軍の座を求めて暗躍する。家綱はどうさばくのか。賢治郎は家綱の命を受け、自ら囮となって夜の街をうろつく。結局、家綱の意向が明らかになり、事態は沈静化する。今度は紀州の頼宣が蠢き始めるか。2018/09/21