内容説明
子どもから成人に至るすべての年代を包含した心理治療論。心理治療において、何が起こり、何がなされうるのか。人間のもっとも原初的な次元の問題を提示している早期幼児自閉症をはじめ青年期の重症の神経症を含むさまざまな事例の心理治療を基盤として、著者は、心を病む人の痛みの深さを明らかにするとともに、「死の欲動」さえもが現れ出てくるクライエントとセラピストの転移関係において、「発話者としての“私”」の生成が生じることの意義について論じる。
目次
第1部 理論研究(フロイトの転移論;クラインの転移論;ウィニコットの転移論;ユングの転移論 ほか)
第2部 心理治療(“私”の生成の場としての転移―自閉症児の心理治療;発話者としての“私”の生成と転移―言語発達障害児の心理治療;子どもの言葉に現れた母親の無意職―来所しない不登校児の母親面接による心理治療;転移と「死の欲動」―心理治療の転回点に現れた死の夢 ほか)
著者等紹介
伊藤良子[イトウヨシコ]
1945年大阪府生まれ。1968年神戸女学院大学文学部卒業、神戸市民生局社会福祉主事等を経て、1985年京都大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。1993年京都大学博士(教育学)、神戸女学院大学教授等を経て、現在京都大学大学院教育学研究科教授。専攻臨床心理学。著書は、臨床心理大系 第17巻 心的外傷の臨床(分担執筆)金子書房 2000、心理臨床の実際 第5巻 境界例・重症例の心理臨床(分担執筆)金子書房 1998、心理職・福祉職をめざすひとへ(分担執筆)ナカニシヤ出版 1997ほか
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感想・レビュー
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