内容説明
公共圏への羨望と警戒―集合的な“声”の力と暴力。フランス革命とナポレオン戦争の衝撃に劇震する世紀転換期、文芸的公共圏への参画は政治的公共圏への接続をも含意していた。文学市場が拡大するこの時代に、あえて大衆に追従しなかった作家は何を残そうとしたのか―クライストが描くデモクラシーの両義性と知られざる革命的文脈を掘り起こす。
目次
クライストと公共圏の時代
第1部 虚構と現実あるいは文学と政治(裁きの劇場―『壊れ甕』あるいは政治的演劇の自己理解;重層的な革命―『壊れ甕』あるいは文学の地政学;デモクラシーの文法―『オーストリア諸国家の救出について』あるいは「民主的な様相」)
第2部 “君主”と“民衆”の詩的公式(民衆の輪郭(一)―『ロベール・ギスカール』あるいは不在の君主
民衆の輪郭(二)―『ヘルマンの戦い』あるいは友人たちのデモクラシー
機械仕掛けの国父―『ホンブルク公子』あるいはマキァヴェリアン・モーメント)
第3部 世論の(暴)力(震災とデモクラシー―『チリの地震』における「声」の政治的射程;公共圏の「脆い仕組み」―『ミヒャエル・コールハース』における「世論」の表象;ファマとメルクリウス―『ベルリン夕刊新聞』あるいは嘘と真実のジャーナリズム)
誤報と自殺
著者等紹介
西尾宇広[ニシオタカヒロ]
1985年、愛知県出身。京都大学文学部および同文学研究科でドイツ文学を学ぶ。京都大学文学研究科博士後期課程を出たのち、2015年に『クライストと公共圏の時代―世論・革命・デモクラシー』で京都大学博士号(文学)を取得。現在、慶應義塾大学文学部准教授。専門はハインリヒ・フォン・クライストのほか、近代ドイツ語圏文学と文化史・文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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