内容説明
19世紀初頭の民族再生運動のなかで、チェコ語の復興をめざし、芸術言語たらしめようとした、近代チェコ語の祖ユングマン。ナチスが政権を掌握しようとした時代、多民族と多言語のはざまで共生を目指したユダヤ系翻訳家アイスネル。冷戦下の社会主義時代における亡命作家クンデラ。ボヘミアにおける文芸翻訳の様相を翻訳研究の観点から明らかにする。
目次
第1部 ヨゼフ・ユングマン(十九世紀初頭のチェコ語;『言語芸術』;『アタラ』の翻訳;辞書;翻訳の機能)
第2部 パウル・アイスナー/パヴェル・アイスネル(言語のはざまで;アンソロジー;「共生」に関する言説;ユダヤ性について;翻訳をめぐる言葉)
第3部 ミラン・クンデラ(翻訳者クンデラ;翻訳されなかった作品;「小文学」を翻訳する;「真正版」という概念、あるいは小説の変容;翻訳される作品、あるいは「大いなる帰還」)
著者等紹介
阿部賢一[アベケンイチ]
1972年、東京生まれ。東京外国語大学外国語学部卒。カレル大学、パリ第4大学(DEA取得)留学を経て、東京外国語大学大学院博士後期課程修了、博士(文学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専門は、中東欧文学、比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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