内容説明
生の不安、死の気配、神の不在、「無」の存在論、極めて不明瞭で捉えどころのない、理性の力では解き明かせないめくるめく神秘的体験、そして聖なるものへの熱く苦しい渇望―バタイユの思索を中世ロマネスク美術や北方ルネサンス、ゴシック建築の大聖堂などを背景に、ニーチェ、ヴェイユ、岡本太郎その他、バタイユと深く関わった作家、思想家を通して論ずる意欲の論集。
目次
大聖堂の追憶―ジョルジュ・バタイユと限界体験
黙示録の彼方へ―ロマネスク芸術と生命の横溢
聖なるコミュニケーション―ヴェイユとバタイユの場合
根源からの思索―ブランショのヴェイユ論
バタイユの『空の青』
ある劇場国家の悲劇―「人間失格」と無用性の東西
トリノの風―クロード・ロランと最後のニーチェ
聖なる暴力―ニーチェ、バタイユとともに
夜の遺言―岡本太郎とジョルジュ・バタイユ
著者等紹介
酒井健[サカイタケシ]
1954年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、同大学大学院へ進学。1983‐87、90年、パリ大学に留学。1986年、同大学よりバタイユ論で博士号取得。電気通信大学助教授を経て、現在、法政大学第一教養部教授
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感想・レビュー
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真魚
2
酒井健さんの本を読んでいると、じぶんがバタイユを好きなのか酒井さんを好きなのか分からなくなってくるのですが、これは河合隼雄を読んでいてユングを好きなのか河合さんが好きなのか分からなくなってくるのと同じ現象だなあと思いました。文章がウエッティーかつ真摯でかわいい。バタイユ哲学に絡めながら、バタイユ青年期、ヴェイユ、ゴッホ、ニーチェ、太宰治、岡本太郎、西洋建築などを取り上げた論文が密集している本でさいこうに面白かったでしす。バタイユとヴェイユの比較論文が読みたくて手にとった本でしたが、大収穫でした。おすすめ。2015/08/28
メノラ
0
3,5章のみ2022/04/09