出版社内容情報
山間の分校の転校生に忍び寄る、不穏な影の正体は――新鋭ミステリ作家が瑞々しい筆致で描く、長編青春ミステリ!
内容説明
父親が突然亡くなり、山形の山あいの集落に引っ越した小学校6年生の高橋みのり。あざやかに季節がめぐる彼女の4年間と不穏な事件の行方を、繊細な筆致で描き出す―気鋭が全身全霊を込めた、烈しくも切ない成長物語。
著者等紹介
彩坂美月[アヤサカミツキ]
山形県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。『未成年儀式』で富士見ヤングミステリー大賞に準入選し、2009年にデビュー(文庫化にあたり『少女は夏に閉ざされる』に改題)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
248
王様のブランチのブックコーナーで紹介されたので、読みました。彩坂 美月、初読です。本書は、桜沢向日葵青春(ミステリ)、少年・少女時代の佳作でした。機会を見つけて、著者の他の作品も読んでみたいと思います。 https://www.bookbang.jp/review/article/6391142020/10/24
ちょろこ
160
心掴まれた一冊。良かった。舞台は山形の集落。少年少女の4年間、そこに絡む不穏な事件を描いた青春ミステリ。向日葵、残酷さ、ざわつきが漂う中での丁寧に描かれる三人の心の機微、大人に一歩近づく細やかな瞬間が時に眩しく時に痛いほど心に響いてきた。次第に見えてくる彼らに流れる交錯する思い、裏側とも言える時間。全てを知った時、今まで見て感じてきたものがクルッと姿を変える、この瞬間にせつなさと共に心掴まれた。最終章がまた秀逸。大人になったからこそわかることも多々ある。苦しみをバネに…どんな思い出も無駄なんかじゃない。2020/12/20
machi☺︎︎゛
150
父親を亡くしたみのりは母親と一緒に母親の地元の山形に引っ越してくる。その小さな村での新しい出会い、自然豊かだけど都会育ちのみのりにとっては厳しい生活、都市伝説のように語られる向日葵男。正義だと思っていたものが悪で、悪だと思っていたものが正義だっとしたら。悪意のない身内意識や田舎ゆえの閉鎖的な空気。引き込まれる内容だけど何かモヤモヤしながら読んで最後に納得のいく答えが出る感じだった。初読み作家さん。面白かった。2020/12/01
sayuri
129
冒頭から不穏さ全開。喉に刺さった小骨のように心に引っ掛かりを感じ、何か釈然としない思い、妙な違和感に心がざわつく。父親が突然亡くなり、東京から山形の山あいの集落に引っ越した小学校6年生の高橋みのり。この閉鎖的な集落で次々に起こる不穏な事件。犯人は子供達が怯える「向日葵男」なのか!?みのりと関わる二人の少年も秘密を抱えているようで目が離せない。早い段階で犯人の目星は付くが終盤の伏線回収は想像の上を行き、あまりにも悲しい真実に胸が塞がれる。最終章、向日葵流しの場面は感涙。社会問題を巧みに絡めた青春ミステリー。2020/12/04
モルク
121
父を亡くし母の故郷山形に移り住むこととなった小6のみのり。自然豊かな地で、よく言えばやんちゃな隼人と優しい怜とのかかわり合い。小学生から中学生思春期になってくると今までの3人の関係が微妙に変わってくる。地元に伝わる向日葵男の存在、閉鎖的な地方のあるある。なぜ隼人と怜という対称的な二人がこんなにも仲がよかったのか…謎が解けていく。隼人の印象がはじめとは随分変わってくる。そして三角関係とも違うこの3人の空気感がいい。ただ、ワンコのシーンだけは…。むごい…たまらない。2021/04/03