誰か―Somebody

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  • サイズ B6判/ページ数 379p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784408534497
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

稀代の物語作家が、あなたの魂を揺さぶる新たな代表作を、いまここに生み出した--

(あらすじ)
杉村三郎35歳、妻子持ちのサラリーマン。妻の父親は大財閥「今多コンツェルン」会長の今多嘉親で、三郎は会長室直属のグループ広報室で記者兼編集者として働いている。すでに他界した妻に実母は嘉親の正妻ではなく、三郎も後継者として婿入りしたわけではないが、「逆玉の輿」であることは変わりはなかった。
ある日、三郎は義父から妙な依頼を受ける。嘉親の個人運転手を長年務めてきた梶田信夫が自転車に轢き逃げされて命を落とし、遺された二人の娘が父親の思い出を本にしたがっているので、編集者として相談に乗ってほしいというのだ。姉妹に会うと、妹の梨子は本を出すことによって、犯人を見つけるきっかけにしたいと意気込んでいるが、結婚を間近に控えて父を喪った姉の聡美は、そう上手くいくはずがない、と出版に反対しており、結婚の延期も考えていることがわかる。ところが、聡美が反対する真の理由は別にあった。彼女は、妹には内緒という条件で、三郎に真の反対理由を打ち明けた・・・・・。

内容説明

財閥会長の運転手・梶田が自転車に轢き逃げされて命を落とした。広報室で働く編集者・杉村三郎は、義父である会長から遺された娘二人の相談相手に指名される。妹の梨子が父親の思い出を本にして、犯人を見つけるきっかけにしたいというのだ。しかし姉の聡美は出版に反対している。聡美は三郎に、幼い頃の“誘拐”事件と、父の死に対する疑念を打ち明けるが、妹には内緒にしてほしいと訴えた。姉妹の相反する思いに突き動かされるように、梶田の人生をたどり直す三郎だったが…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆのん

100
杉村シリーズ1作目。原作より先にドラマを観てしまっていたので所々記憶にある場面があった。描写が細かくてなかなか本筋の話に進展が見られないので、若干辛抱の読書となった。主人公である杉村の人の良さが前面に出ていて非常に好感の持てるキャラクターではあるが、感情に任せた杉村を見たい気もする。梶田姉妹の言う『杉村さんに何が分かる』という言葉に少なからず共感できてしまう。他人から見れば恵まれた環境にいるように見えてしまうのだろうが、それはそれで悩みはあるのだろう。今後の杉村が楽しみ。132019/01/14

のり

93
二人の娘を残し「梶田」は自転車に轢き逃げされ亡くなった。会長で義父の命で、彼女達を手助けする「杉村」。事故の謎と梶田家の過去を辿ろうとするが…年の離れた姉妹とはいえ性格が真逆。長女は結婚を控えていたし、父は無念だったろう。途中で不穏な匂いを嗅ぎとりながら読み進め、思った通り悲劇が待受けていた。あまりにも身勝手過ぎる言い訳に呆れ果てながら溜息しかでない。事故ともう一つの衝撃。2021/01/20

くろり - しろくろりちよ

72
逆玉の輿などと言われる財閥の娘と結婚した広報室の編集者・杉村三郎。義父の運転手の自転車による当て逃げ事件を、運転手の娘たちに依頼され調べ始めるが…。掘り起こされる過去から繋がる現代の傷。対象的な姉妹が育った背景にあったものと、照らし出される二人の中の闇。探していた「誰か」とは?鏡に映る姉妹の姿と家族の在り方を問いかけた現代ミステリ。やや割り切れない思いが残るものの、問いかけるような表題、淡々とした語り口がマッチする。まさに「事件は小さいけれど、悩みは深い」。寂しさを残す読後感。2013/03/19

69
なんだこのふわっとした話は。思ってたのとだいぶ違うぞ。全く予想できなかった結末とわりかし早い段階で予想できちゃった結末とが混じりあってる。面白くないわけじゃないけど、面白いってわけでもない。でも続編も読んじゃおうかなって思うのはなぜでしょう。とにかく話がふわっとしてるのは三郎のせいではなかろうか。2016/02/04

miya_feel

65
宮部みゆき2018年作「昨日がなければ明日もない」を読み始める前にまずは「杉村三郎シリーズ」の一作目を読み初めてみる。財閥令嬢との結婚条件として今多コンツェルンの広報室に勤める事になった杉村三郎。義父となる会長の専属運転手である梶田の事故死をきっかけとして、亡き父のことを本にしたいと娘姉妹から相談される事から、謎がどこまでも奥深く入り込んでいく。日常の中に潜む小さくて地味な事件に関わる人達であっても、それぞれ個々人が深い悩みを抱えているのである。その登場人物達を優しく包み込む愛情溢れる描写が印象的だった。2019/08/02

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