内容説明
2004年10月12日、埼玉県皆野町の山中で男女七人がレンタカーの中で死亡しているのが発見された。死因は練炭による一酸化炭素中毒だった。北は青森から南は佐賀まで、全国各地から集まった七人の接点は、インターネット。いわゆる「ネット心中」である。連鎖的に、いわば流行のように広がった自殺の手段だった。「過去最高の人数」の自殺者を出したこの事件は、世間の注目を浴び、この集団自殺の呼びかけ人「マリア」から計画を知らされていた著者に、マスコミは殺到した。マリアはなぜ死を選んだのか?事件が浮き彫りにする若者たちの「生きづらさ」とは?“準当事者”の著者が、今急増する「ネット心中」の背景に迫る。
目次
Introduction 七人が見た最後の風景
1 マリア(事件当日―マリアと六人の軌跡;マリアの人生―死にたいのではなく「死にたい症候群」;七人の自殺志願者―八人目の志願者ユウジとのメールから ほか)
2 生きづらさのサイン(インターネット・コミュニケーション―ヴァーチャルな私、オンラインの私;チャット依存―つながってる感覚、構ってもらえる関係;援助交際―自分を物語るもの、承認するもの ほか)
3 わかれ道(自らの命をひとりで―周囲にメッセージとして伝わらない;癒し―生きづらさを見つめ直して;模索―生と死の狭間で ほか)
著者等紹介
渋井哲也[シブイテツヤ]
フリージャーナリスト。1969年栃木県生まれ。東洋大学卒業後、長野日報社に入社。98年フリーとして独立するとともに、東洋大学大学院で教育学を専攻し、インターネット・コミュニケーションと居場所について研究
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