著者等紹介
ウォー,イーヴリン[ウォー,イーヴリン]
1903‐1966年。イギリスの小説家
大久保譲[オオクボユズル]
1969年生まれ。埼玉大学教養学部准教授。専門は英文学、表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
112
卑しい…、という言葉がタイトルにあるが、中身はあっけらかんとしている。第一次大戦後のイギリス。 若者の虚脱感からくる享楽。その元凶は彼らの親世代。ふざけた名前をつけられ、親のお金と地位を頼りにしてるようで彼らの都合のいいように利用されている若者たち。卑しいのは彼らの身体だけでなく、心も蝕まれているに違いない。この突き抜けたブラックさは、イギリス特有のものだなと痛感。2016/03/21
NAO
56
パーティに明け暮れ、やたらと移動し続け、それでいて、誰もがみな退屈している登場人物たち。激しい嵐の中「酔っていない」とうめきながら、平静を保っているふりをし続けている狂乱こそが、この「陽気な若者たち」が置かれている状況を端的に表している。戦後に生まれ、何かが足りないという飢餓感を持ち続け、いろいろやってみたものの、20才で退屈してしまった若者たちのドタバタ悲喜劇。ハチャメチャなコメディでありながら、そこはかとなく漂う焦燥感、どこか投げやりな雰囲気。すべて、彼らの退屈から滲み出してきたものなのだ。 2017/02/02
藤月はな(灯れ松明の火)
39
「愛すべきもの」でも感じた恋愛のドタバタ悲喜劇と死の匂いという強烈な皮肉のアッパーパンチ。人から金をせびり、それを酔っぱらいの少佐に何度も懲りずに騙し取られ、終いには恋人を恋敵に売り払いながらも関係を続けるアダムやそんな恋人も、お騒がせで自業自得としか言えない変な死に方で亡くなるアガサも世に良くいるお調子者故のろくでなしである。最後の戦争に対してどこまでも己の虚無的なエゴに忠実だった彼らに別の意味で頭が下がります。そして最初の天使たちの描写もすさまじい皮肉と笑いのスパイスとして作用しています。2013/06/05
Gannet
31
ユーモア小説。時代の雰囲気も知れて面白かったです。本自体は面白かったです。気分的にあまり興が乗らなかったので散漫な読書になってしまいました(^^; そのうち再読かな。 2022/01/25
Ryuko
28
第二次世界大戦の前の英国、退屈を抱え、享楽的に生きる若者たち。死に急いでいるとさえ言える。何にも執着できず、無軌道な行動をとり続ける主人公。戦争の時代の虚無感、絶望感を抱えた若者の物語。2018/06/19
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