内容説明
身分制度の垣根をこえて、江戸の人々の精神を解放した俳諧の魅力を活写。女性として近世俳諧史上、並ぶ者のない連句作者・五十嵐浜藻と一座の人々が織りなす人の世の哀歓。著者会心の俳諧小説。
著者等紹介
別所真紀子[ベッショマキコ]
昭和9年、島根県に生まれる。日本社会事業学校卒業。文学集団「公園」同人を経て、現在、連句誌『解纜』主宰。平成9年、「雪はことしも」で第21回歴史文学賞受賞
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
4
町田大谷村の名主の妻五十嵐浜藻の座では、無礼講。河東節の師匠菊志げこと俳号志鏡、読本屋の亭主俳号助亭こと助平、利倉屋の隠居でやたら「あれ」やら「なに」やら指示語が多い俳号長翠こと助平の妻の勘違いからくる焼きもち、利倉屋の跡継ぎ息子の淡い初恋、いわくありの男との過去を引きずる志鏡など、彼等は座の誰かが事件に巻き込まれると総出で心配し、解決に当たる。パソ通の元祖、ここにあり?2007/07/25
yu
1
俳諧のことはよく分からないが、皆で詠んでいる場面は楽しそうで、こっちも輪に入りたくなる。俳諧以外にも、初々しい恋の行方や捕物もあり、読んでいて飽きない。個人的には助亭と名無しの権兵衛のやりとりが良かった。また助亭の所に遊びに来てほしい。2015/03/12
松風
1
筋立てより、俳諧連句の面白さに引き込まれる。2013/08/14