感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゃんたか
15
革命家ルターの裏に理論家カルヴァンあり。宗教改革の理論的欠点を補足修正。ここにキリスト主義、聖書主義のプロテスタンティズムは一応の完成をみる。氏の教会論にオリジナリティを求めるならば、教会の基礎としての御言葉と聖礼典の重視、可視の教会、不可視の教会、仕え人としての牧師、旧新約聖書における契約の連続性、聖礼典の象徴性、幼児洗礼の意義、教皇主義のカトリック批判、神的秩序を頂点とみる二王国論の展開、パウロ書簡、古代教父の引用による正統信仰の形成に着目すべきだろう。宗教改革から五百年、本書の意義はいよいよ大きい。2016/05/18
マウリツィウス
13
【カルヴァンの聖書語法】改革者・カルヴィンのキリスト教の総括草案書に記される項目事項全ては改革思想の原点となるが、例えばルター派を初めとしたドイツ発祥の福音主義との相違は何か。そこには宗教改革の深い因縁である改革の招く悲劇への憂慮も含まれる。双方の矛盾性を調和克服した彼はプロテスタント実像の具体改案を提唱、その根拠がこの綱要に引用されたラテン学者達の姿、旧約聖書の本質は新約の補完である事実確証を旧約旧教シンボル批判で明晰化する。浩瀚大著の鋭利は古典古代文学の衒学博覧会体制を一蹴、神学は晦渋哲学批判を形成。2013/05/11