感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コリエル
6
「苦しいことも 悲しいこともあったけど 遠くから見てみれば淡くて透明な…青い山脈のようなものよ」という台詞が示すように、この作品はふたりの青春だったのだなと。成長し子を産み育て、老いて死のうとも、欠けた指を見れば鮮やかにあつい想いの甦る青い日々の物語だった。2020/11/18
YSHR1980
5
2周3周と読み直さずにいられない構成の妙よ。結果的に寿命であったとしても、これは間違いなく心中の物語であった。2020/10/24
アキナ
4
指、キレイに保管出来ていて良かった。終わりから始まっているお話なため、ハッピーエンドにならないことが分かっている分切ない。二人の出会いのシーンから始まって、老人のシーンがラストになったら、違う魅力がある作品。2020/11/24
烏鳥鷏
4
指の真相がなるほど。若い頃の貴代子さん妖艶。ノンケを百合道に連れ込んどいて先にリタイアとかふざけんなよとも思うが、女学生の頃に人気者でどこか達観していた貴代子さんが社会に出てぽんこつ判明して家庭に入るほか生きる道無しになるというのも、それはそれでギャップ萌え的なものを抱いた。2020/11/20
聲
4
認知症が進み、大切なひとのことを忘れてしまうかもしれない。記憶を遡るように話が進みます。1話をネットで読んで気になって、上下巻を買って読んだのですが、正解でした。須藤佑実さんの作品は、「傷」が傷でないというか、でなくなったというか、若さとその痛みが、究極のところで癒しになっている。70年。その描き方に、こちらの気持ちももっていかれました。いい作品でした。2020/11/10