出版社内容情報
彼女いない歴28年。
かわいいあの子をホテルに誘い込んだのに、思わぬ展開に……
うう、手出ししたら身の破滅。
……終わるな、シャワー!
どう転がるか読み終えるまでわからない
原宏一ワールド全開の“ねじれ小説”
「新聞配達員につきまとわれているだろう」
仕事一途でろくに休みも取らない夫が、真紀のストーカー被害を疑った。身に覚えのない真紀は夫のストレスを慮り、旅行でもしようと提案する。ところが折角の休みに夫が取った行動は、新聞配達員をストーキングすることだった。(『逃げろ真紀』より)。平凡な日常が奇妙な綻びから意外な方向へと迷走する、予測不可能な五つの短編集!
内容説明
「新聞配達員につきまとわれているだろう」仕事一途でろくに休みも取らない夫が、真紀のストーカー被害を疑った。身に覚えのない真紀は夫のストレスを慮り、旅行でもしようと提案する。ところが折角の休みに夫が取った行動は、新聞配達員をストーキングすることだった(『逃げろ真紀』より)。平凡な日常が奇妙な綻びから意外な方向へと迷走する、予測不可能な五つの短編集!
著者等紹介
原宏一[ハラコウイチ]
1954年、長野県生まれ。早稲田大学卒。97年に作家デビュー。2007年『床下仙人』が第一回啓文堂書店おすすめ文庫大賞に選ばれるなどベストセラーに。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nemuro
49
「平凡な日常が奇妙な綻びから意外な方向へと迷走する、予測不可能な5つの短編集」とのこと。タイトル名の作品はなかった。意外性とテンポの良さから2つ目の「逃げろ真紀」が特に面白かった。「著者グラフ・全期間」によれば既読本は『佳代のキッチン』『床下仙人』『天下り酒場』『ヤッさん』の4冊で2013年から2015年にかけて。網走時代。この時期、あまり自宅では読んでおらず、思えば人生初だった片道30分余りのバス通勤時、揺れるバス内で案外器用に読み進めていたものかもしれず、懐かしい。略歴を見ると、ほぼ同世代。なるほど。2021/12/30
のんちゃん
28
平凡な日々がある日を境に変化していき、最後は予想もしていなかった帰結をみるという話の短編集。私が今まで読んできた原作品とはちょっと毛色の違う、TV番組の『世にも奇妙な物語』風。所収五編のうち最初の二編はちょっと憂鬱なオチで、これは合わないかもと思ったが、他の三編はそんな事もなく、無事読み終えた。だが、やっぱり原作品は、今迄私が読んできた原作品のように、真っ当な前向きになれる話が、私は好きだ。2021/11/29
タケチヨ
26
短編集。以前原さんの作品を読んだ時にも感じた事ですが現実と非現実のバランスがなんとも絶妙で、『平凡組合』や『エクスキューズ開発室』など実際にはありえないような事柄も何年後かの未来には存在しているのかもと思わせるような内容の5作品でした。ブラックな結末のものが多い中で『ロング ロング シャワー』はエロ展開の話かと思いきや、ほっこり恋愛ストーリーに終着して意表を突かれた。2021/12/06
ぷにすけ
16
いつもはラストにほっこりさせるのが原さんの作風でしたが、今回は初期の作風を思い出させるちょっとどころか、かなりブラックな展開。「平凡組合」「逃げろ真紀」は怖い怖い!まさしく「ねじれびと」でしたが、最後の「ロング ロング シャワー」にやや救われました。ひさびさに原さんらしい短編集ともいえるかも。2024/09/01
NAOAMI
16
ねじれた人ではなく、状況が描かれている。平凡を自称する彼も「国家レベルの均一化」となると正義感見せちゃう。ボクなら選民されての高収入なら残っちゃっただろうな。「逃げろ真紀」は旦那の妄想がイカれ過ぎて引くなぁと思ってたら、案の定、妄想が現実になり、更なるひねり(ねじれ!)も利いている。てつこの稀有な生い立ち、著者ならコレだけで長編書けるんじゃないか。全国区各地を巡って人助けも絡めりゃシリーズ化も。周囲の思惑がねじれる中でヒロインが真っ当で居続ける「エクスキューザー」も面白い。「~シャワー」は取って付け感が。2022/07/29