内容説明
千葉県の太平洋側に位置する月ヶ浦。私、高二の藤平夏海は民宿“房総グランオテル”の看板娘だ。本日の予約は、お調子者のギター弾き菅沼さん、“陰気な女”佐藤さん、カメラ男子田中さんの三組。私は従姉妹のハルカ(超絶美少女)と、客室でお泊まり会をする。楽しい夜になるはずだったのに、いま目の前にあるものは―銃口!?季節はずれの海辺の宿で起こる、奇跡の物語!
著者等紹介
越谷オサム[コシガヤオサム]
1971年、東京都生まれ。2004年「ボーナス・トラック」で第一六回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー。11年『陽だまりの彼女』が啓文堂書店「おすすめ文庫大賞」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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5 よういち
124
千葉県・外房の月ヶ浦にある民宿・房総グランオテルを舞台にした物語。月が浦は架空の町であるが、たぶん外房線の御宿辺りじゃないかな。実在する地名も出てくる。◆房総グランオテルの看板娘・高校2年生の藤平夏海を中心に、父、母、従姉妹の美少女・ハルカと訳ありの宿泊客3人が絡んでのハートフルなお話。物語はのっけからなんとも物騒な場面から入っていくが、全体としてはコメディータッチ。看板娘・夏海の底抜けな明るさが華やかさで心地良い。他の登場人物もなかなかの個性で、盛り上げてくれる。続編があってもいいんじゃないかなぁ。2021/09/14
dr2006
39
これは痛快!面白かった⤴流石、映画化作品に実績がある越谷さんだ。活字を読んでいるのを忘れるほど、登場人物たちが映像となって動き出し、舞台となる外房の景色も目に浮かんでくるから不思議だ。家族経営の小さな民宿「房総グランオテル」に偶然宿泊し居合わせた人々を巡る奇跡のドラマだ。世間から忘れられた一発屋歌手の菅沼欣二、パワハラに苦しみ逃避行中の佐藤舞衣子、近くの駅で偶然撮れた美少女を追うカメラ小僧田中達郎、そして看板娘高2の夏海と従姉妹の美少女ハルカ。思い違いとユーモラスでネガティブ考をぶっ飛ばせ!お薦めの一冊。2024/04/23
エドワード
32
房総半島。明るい空と海、いい所だよね。高校生・夏海と両親とが営む民宿ふじひら荘をリフォームした房総グランオテル。従妹の美少女ハルカが宿へ遊びに来る日、怪しい三人の客が宿泊する。佐藤舞衣子(出版社勤務、パワハラで疲労困憊)、菅沼欣二(忘れられた往年のスター)、田中達郎(鉄道写真おたく)。各々深刻な悩みを抱える三人が、夏海たちと交流する中で起きる事件。二日の間に起きる出来事が、それこそ推理小説のごとく綿密に関わりあって進む様が見事だ。冒頭で登場するピストルが、どのようにハッピーエンドにつながるか、お楽しみ。2021/12/12
げんごろう
20
季節はずれの房総の民宿に集うワケありな宿泊客達。 少しの勘違いが交差し繰り広げられるドタバタ劇が面白く、スピーディな展開も相まってあっという間に読み終わりました。 観光ホテルも良いけど、こんなアットホームな民宿にも泊まってみたい。 温かくて素敵な作品でした! 2021/12/20
なみ
17
女子高生の夏海の両親が経営する民宿、房総グランオテルが舞台の群像劇。 宿泊客は、ギターを弾く中年の菅沼さん、陰気な女性の佐藤さん、カメラ男子の田中さんの3人。 それぞれが目的を果たすために行動するも、勘違いやアクシデントも重なり、予期せぬ展開へ。 夏海や両親、美少女の従姉妹も交えて、絶妙なバランスで物語はつながっていきます。 楽しくて温かいコメディであると同時に、ものすごく綺麗な形をした作品だと思いました。2021/08/01