内容説明
宮内庁に保管してあった貞明皇后の大粒ダイヤが消え、日銀地下金庫の供出ダイヤも持ち出されていた―。戦後、GHQの進駐は、民主化と同時に、新たな権力者としての略奪、政治腐敗をももたらした。その後、次々と起きた疑獄事件や贈収賄事件でも、重要証人や関係者が決まって不審な死を遂げていく。その裏に何があったのか?昭和の裏面史を抉った傑作復刊。
目次
1 宮内省から消えた貞明皇后の秘宝―消された?世耕機関の調査員
2 時価数兆円、日銀ダイヤ蒸発事件―監察委員会の調査員は死んだ
3 清朝愛新覚羅家の秘宝事件―暗殺と変死を生んだ西太后の遺産
4 消えた掠奪財宝事件―政治的強奪の証人を未然に消せ!
5 造船疑獄―二人の重要証人の変死と指揮権発動
6 ドミニカ糖事件と謀略機関員の死―過失のガス中毒か?殺人か?
7 日本通運不正事件―国会議員の収賄容疑と重要証人の変死
8 防衛庁機密漏洩事件と第二次FX問題―機種選定をめぐる山口空将補の変死
9 ロッキード疑獄―変死者の背後に垣間みる国際的謀略
10 失速した日商岩井の航空機戦略―島田三敬氏の自殺にまつわる数かずの疑惑
著者等紹介
森川哲郎[モリカワテツロウ]
1924年、東京生まれ。新聞、雑誌記者を経て、文筆活動に入る。小説、評論、脚本と執筆範囲は広く、日本推理作家協会、日本作家クラブに所属。「平沢貞通氏を救う会」事務局長を務めた。1982年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ikuto Nagura
2
疑獄事件などの権力者の不正が発覚する影で、重要証人や関係者が遂げた不審な死について告発する。特に、戦争中に国民から供出した貴金属や、皇室や愛新覚羅家の財宝、フィリピンからの掠奪財産の行方の話に、とても興味を惹かれた。そしてロッキード事件関係者18人が同時期に謎の死を遂げる偶然の話も…。謀殺があったかどうかは判じ得ないけれど、疑獄や掠奪により「大企業と政治家だけは、豚のように肥っても、国民の生活は楽にならず、住宅事情は悪く、中小企業の倒産だけは激増し、失業者は巷にあふれた」社会は、今でも眼前に広がってるね。2015/12/01