内容説明
この傑作が、なぜ落ちた…。受賞作だけが名作じゃない。震災と喧噪の時代を生きた作家が残した名作編。
著者等紹介
鵜飼哲夫[ウカイテツオ]
1959年、名古屋市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。1983年、読売新聞社に入社。1991年から文化部記者として文芸を主に担当する。書評面デスクを経て、2013年から編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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油すまし
35
受賞に至らなかったとはいえ優れた候補作が沢山ある。8作品が収録されている中の佐藤洋二郎さんの「猫の喪中」のみ読了。タイトルに猫とあったので読んでみたが、面白かった。17年飼った猫に死なれ、人生を考える。今まで関わった人たちのことがあれこれ思い出される。考えた通りに人生はいかないところはあるが、年齢を重ねてから振り返ると、どう生きても大差はない。好きに生きるのがいい。当時の選評も紹介されている。この作品がいいと思った、と三浦哲郎さんの選評など。かつての仕事仲間同士で一緒になった夫婦が出てくる辺り、印象深い。2023/05/06
り
5
とても面白かったですね。今回の芥川賞と並べて、自分の好みができあがった時代背景を見ました。2022/07/22
5〇5
5
「文学賞と言えば、やっぱり「芥川賞」だよね」 「でも、受賞作のアンソロジーはないし、まとめて読む機会がないのは残念だね」 「そんなときこそ、この作品集ね。芥川賞らしさを楽しめちゃう」 「選考委員の好み次第では受賞してたかもの作品だし、内容もスタイルも色々で面白いよね」2021/06/17
にゃんしー
4
「え、なんで!?」のかたまりだった。つまり「なんでこんなに優れた作品が落ちてるの??」ということ。誰かおしえて!!もちろん審査員をせめるのではなく、むしろ自分の読書IQのなさを恥じているのである。もっと読めるようになりたいなあ。そういう分析もできれば、単純におもしろい作品をたくさん読むことのできる、なんともお得な本でした。もっと古い作品を取り上げたほうも読んでみようかな。2021/07/24
田中峰和
4
芥川賞を受賞すれば、必ずしも作家生命が安泰というわけではない。むしろ受賞を逃した候補者の方が活躍するケースもある。巻末の受賞作・候補作一覧を見るとその特徴がわかる。何度か候補になる作家は安定した活躍をする人が多い。興味のある作品から読んだ。「ヴァイブレータ」は映画化され延々と続く性描写で話題になった。男以上に性欲の強い主人公は90年代の新たな女性像なのか。ライターの彼女が三浦りさ子のことをやたら貶すのが面白い。「天安門」はリービ英雄の少年時代の台湾の風景と30年後の中国大陸のギャップに読みごたえがあった。2021/07/15
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