内容説明
大胡の半助の賭場で、イカサマの罪をかぶせられ、簀巻きにされようとしていたむしりの才六の急場を救ってくれた男、それは胸に十文字の灼印のある旅人、十文字の竜であった!下野黒田藩の御用金をうばい、義父殺害という無実の罪で追われる十文字の竜とは、もと黒田藩の武士であったが、裏切者として藩を追われていた!竜の憎むべき仇こそ、胸に灼印を押す私刑を加えた加納紀三郎であった!加納紀三郎の行方を追う十文字の竜!さらに竜のあとを追う者に、竜の剣術の師であった冬木郷右衛門と八州取締役の藤田直人のきびしい探索の目があった!むしりの才六とともに十文字の竜の姿は安中宿に現れた!―現代ハードボイルド推理小説の名手生島治郎がおくる新・股旅時代小説の異色作。