出版社内容情報
有名事件の裏側で文書鑑定人がいかに巧妙な偽造や改ざんを暴いてきたのか。時に暴かれる犯人側のエピソードも交えて明かしていく。
内容説明
嘘や不正は、かくして暴かれる!文書鑑定の第一人者が明かすあの大事件、難事件の舞台裏。
目次
第1章 筆者識別(無国籍児を救った外国人女性二人のサイン;そろって冤罪をまねいた下田事件の四人の鑑定人 ほか)
第2章 世間を騒がせた文書事件(不法入国でFBIに捕らえられた日本赤軍の菊村憂;蜂谷真由美こと、北朝鮮工作員・金賢姫の偽造日本国旅券 ほか)
第3章 文字にまつわるさまざまな話題(「俺はサムライ」で署名を裁いた内閣総理大臣・吉田茂;日本人はサインを持っていない ほか)
第4章 文書鑑定雑稿(ヨーロッパで生まれた「科学捜査」;日本語版小冊子もある「FBI御案内」 ほか)
著者等紹介
吉田公一[ヨシダマサカズ]
1931年群馬県生まれ、1953年東京写真短期大学(現東京工芸大学)卒。国家地方警察本部科学捜査研究所に入所。警察庁科学警察研究所文書研究室室長兼法科学研修所教授、同附属鑑定所長を歴任。1975年から1977年まで、警視庁科学検査所文書鑑定科長。1990年オーストラリア・クイーンズランド州警察本部へ出向。定年退職後、1992年吉田公一文書鑑定研究所を開設。日本法文書鑑定研究会会長、全国の裁判所からの鑑定を受命(1992年~2019年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
98
文書や押印の偽造が中心テーマのミステリは高木彬光の『白昼の死角』くらいか。法の盲点を突いて血を流さず巨額詐欺を繰り返す主人公の鮮やかな手口と、彼を捕まえようと苦闘する捜査側とのコンゲームが面白かった。創作でなく現実にニセの署名や文書を作った犯罪者の狙いや思惑はどんなものか、警察や裁判所で長く文書鑑定に携わってきた筆者の経験から浮かぶ。偽造旅券やテロの犯行声明から相続や詐欺絡みの話まで、相手を騙すことに脳髄を絞る人の姿が見えてくる。また欧米のサインと日本の署名の違いも、国民性の差異を示すものとして興味深い。2022/03/20
スプリント
9
欧米のサインの考え方と 日本人のサインの考え方の違いが目からウロコでした。2022/01/18