内容説明
柔軟なマルクス主義史家として国際的評価のたかいホブズボームのデビュー作。シチリアやアンダルシア民衆のなかに、反体制運動のルーツをさぐる。
目次
義賊
マフィア
千年王国論(ラッザレッティ;アンダルーシアのアナキスト;シチーリアのファッシと農民共産主義)
都市暴徒
労働宗派
社会運動における儀礼
かれら自身の声で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
3
完訳版が出ておった。米革命・仏革命が世俗革命であったことから、後の革命理論は都市蜂起型の事例に偏った。しかし、成功した革命の多くは辺境で起こり、その主体も労働者ではなく農民や匪賊である。他の社会理論と同じく、革命理論もやはり都市型偏向を免れていない。ホブズボームは「空想的」社会主義と「科学的」社会主義の区別を捨ててはいないが、民衆を動かす理想や願望の継続性を強調する。民衆の伝統に注目する点で、右翼に横取りされた民衆の心を奪い返すために、実現されなかった過去の願望にも目を向けよと左翼に説いたブロッホに通ずる2019/10/20