内容説明
高浜虚子は近代俳句の巨匠である。かれは松山に生まれ、同郷の正岡子規に兄事し、子規亡きあとの俳壇を背負い、ひたすら純客観写生、花鳥諷詠を唱道しつつ七十年の長きにわたる俳句生活を続けた。同時にかれはすぐれた写生文家でもあった。すなわち、かれの生涯はそのまま近代俳句の歴史であり、かれの主宰した「ホトトギス」は、富安風生、水原秋桜子、中村草田男など多数の俊英を輩出したばかりか、夏目漱石、野上弥生子などの作家をも育成し、近代文学史上に大きな功績をもたらした。まさに虚子こそ現俳壇の父であり、写生文を日本文章の粋にまで昇華せしめた功労者である。短歌とともに俳句にも飛躍的進歩がみられる今日、虚子を理解せずして現代俳句を語ることはもはや不可能といえよう。
目次
第1編 高浜虚子の生涯(子規文学を継いで;自然に育まれた幼年の日;貧しさに負けず;俳人として立つ;文学への執念;円熟期をむかえる;春風駘蕩としていた晩年)
第2編 作品と解説(花鳥諷詠の道;写生文の道)
著者等紹介
福田清人[フクダキヨト]
1904(明治37)年長崎に生まれる。1927年東京帝国大学文学部国文科卒。立教大学教授をへて、実践女子大学教授、日本近代文学館常任理事を歴任。1995年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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