内容説明
サテワヌ島における七年間は、日本人の一人もいない全くの孤絶した世界だった。三百人に満たない島民の中、ヤシの葉をふいた家の下で裸の生活を続けながら、未だ文明の洗礼を受けないサテワヌの生活と文化を克明に誌し続けた。母系氏族制の社会組織が生みだす個有の原理と特異な習俗。島民の生活を律するさまざまの神がみ。日本の太平洋民族学史上草分け的な業績を集成する。
目次
サトワル島々民の慣習
サテワヌ島の神と神事
サトワヌ島の神憑り
ヤップ及びパラオの離島に於ける財産並びに職権の相続に就て
サテワヌ島における結婚・離婚・姦通
女系社会に於ける「父」
サテワヌ島に於ける子の養育と性的秩序―パラオと比較しつつ
サタワル島に於ける「穢れ屋」に就いて
サタワル島に於ける葬儀―並に死及び葬儀に関連する呪儀禁忌等
サテワヌ島民の自然観
サタワル島に於ける漁法―並に漁魚乃至魚に関する呪儀・禁忌其他
サテワヌ島における航海術伝授
ミクロネシア人の食物慣習