内容説明
十七世紀の前半といえば、冒険、芸術、科学、政治の世界などで名をなした偉人たちが、つぎつぎとあらわれた時代である。光あふれる大地スペインでは、画家ベラスケスが〈真実の絵筆〉をふるっていた。そして、ベラスケスの仕事を陰になり日なたになりして助けた黒人奴隷パレハが、そこにいた。この物語は、あたらしい思潮やゆたかな芸術にいろどられた当時のヨーロッパにあって、はなばなしい流れの陰にかくれた、ひとりの奴隷の生涯である。小学上級~中学生向き。
感想・レビュー
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xuxu
2
ベラスケスと黒人奴隷パレハの友情のお話。まずこの二人を児童書の題材に取り上げた著者の目の付け所がすごいと思った。主人公フアニコの目を通して描かれるベラスケスは、寡黙で控えめ、優しい性格。一方絵画で真実を描くのに一切の妥協を許さない冷徹さも併せ持つ。まさに絵から受ける印象通り。パレハの肖像画には奴隷の卑屈さは微塵もない。この絵こそ二人の関係性を何よりも雄弁に物語っているのかもしれない。きっと著者はこの絵に触発されたのだ。やや早足に感じたが締め括りは粋だし、身分や人種を超えた友情が美しい。表紙にも深い意味が。2018/06/27
ささ
1
非常に読みやすく、面白いです。奴隷の話というと、重くてつらい物語かと思ってしまいますが、本書はかなり穏やかで平和です(´▽`) ホッ。 続き https://kodomonohonnnomori.hatenablog.com/entry/2019/01/22/2139202019/02/13
Olga
1
『ベラスケスの十字の謎』の類書として読んでみた。1966年ニューベリー賞受賞作 "I, Juan de Pareja" の邦訳。2014/11/21
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- 和書
- 西洋古典学研究 1~X