幻冬舎新書<br> 貧困と脳―「働かない」のではなく「働けない」

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幻冬舎新書
貧困と脳―「働かない」のではなく「働けない」

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  • サイズ 新書判/ページ数 248p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784344987531
  • NDC分類 368.2
  • Cコード C0295

出版社内容情報

自己責任ではない!
その貧困は「働けない脳」のせいなのだ。
ベストセラー『最貧困女子』ではあえて書かなかった貧困当事者の真の姿
約束を破る、遅刻する、だらしない――著者が長年取材してきた貧困の当事者には、共通する特徴があった。世間はそれを「サボり」「甘え」と非難する。だが著者は、病気で「高次脳機能障害」になり、どんなに頑張ってもやるべきことが思うようにできないという「生き地獄」を味わう。そして初めて気がついた。彼らもそんな「働けない脳」に苦しみ、貧困に陥っていたのではないかと――。「働けない脳=不自由な脳」の存在に斬り込み、当事者の自責・自罰からの解放と、周囲による支援を訴える。今こそ自己責任論に終止符を!

内容説明

約束を破る、遅刻する、だらしない―著者が長年取材してきた貧困の当事者には、共通する特徴があった。世間はそれを「サボり」「甘え」と非難する。だが著者は、病気で「高次脳機能障害」になり、どんなに頑張ってもやるべきことが思うようにできないという「生き地獄」を味わう。そして初めて気がついた。彼らもそんな「働けない脳」に苦しみ、貧困に陥っていたのではないかと―。「働けない脳=不自由な脳」の存在に斬り込み、当事者の自責・自罰からの解放と、周囲による支援を訴える。今こそ自己責任論に終止符を!

目次

第1章 「なぜ?」の原風景
第2章 自己責任的に見える当事者
第3章 やっとわかった彼らの言葉
第4章 「働けない脳」の僕たち
第5章 なぜ彼らは座して破滅を待つのか
第6章 なぜ彼らは制度利用が困難なのか
第7章 「働けない脳」でどうするか?―当事者と周辺者・支援者へ
第8章 唯一前進している生活保護界隈
最終章 貧困の正体

著者等紹介

鈴木大介[スズキダイスケ]
文筆家。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし、『最貧困女子』(幻冬舎新書)、『ギャングース』(講談社、漫画原作・映画化)、『老人喰い』(ちくま新書、TBS系列にてドラマ化)などを代表作とするルポライターだったが、2015年に脳梗塞を発症。高次脳機能障害の当事者となりつつも執筆活動を継続し、『脳が壊れた』(新潮新書)、『されど愛しきお妻様』(講談社、漫画化)など著書多数。当事者としての代表作は、援助職全般向けの指南書『「脳コワさん」支援ガイド』(医学書院・シリーズケアをひらく、日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

170
脳の認知機能が弱い「境界知能」の少年を取り上げた『ケーキの切れない非行少年たち』を思い出した。あちらは生まれつきの障害が原因だが、後天的な病気や事故による高次脳機能障害も似た症状をもたらす。しかも何の問題もなく生きていた頃の記憶や経験があるので、境界知能の少年と異なり自分の頭が働かなくなったと理解できている。結果として社会生活が送れなくなり貧困に陥ったのなら、著者の言う「生き地獄」は誇張ではない。『アルジャーノンに花束を』でチャーリイが味わった苦悩にも相通じる。自己責任とは健常者の傲慢だと痛感させられる。2025/01/03

ねこ

117
「最貧困女子」などの新書を書かれた著者の最新作。貧困について多くのルポをしてきた彼自身が脳梗塞を発症し高次脳機能障害になり健常者視点から貧困者に多く見られる「不自由な脳」を持つ貧困者視点で書かれた驚くべき本。私は貧困に陥っている人は、努力が足りない、学ぶことの継続ができていない、逆境から立ち上がる気力が足りないと少なからず感じていました。私も貧困家庭でしたから…でも、この考えは傲慢でした。過酷な環境と重度なストレスは不自由な脳(高次脳機能障害)を招く。…今、日本はインフレが進み相対的貧困率が上昇中…嗚呼。2025/03/23

ehirano1

112
こ、これは、「脳機能の低下は自身と他人の社会生活を困難にする」というとっても大切なことを学ばせてもらいました。砕けていうと、『できない』の原因は脳機能低下に起因する、と言い切ってもイイかもしれません。そうすると、健常人でさえ、程度の差こそあれ何らかの脳機能低下が生じていることになのではないかと推測されます。もうこれは意志の力云々ではないですね(そういえば、「意志」は信用できない旨の本を読んだような・・・)。 2025/03/05

なかしー

56
2025年1月ベスト本。本書を読む前後で、働かない人に対しての見方が変わる。さらに言えば読む前の見方には、不可逆的に戻れなくなるそれぐらい影響力のある骨太本。 著者は高次脳機能性障害をキッカケにそれまでの生活が一変する、これまで当たり前に出来たことに非常に脳に負荷がかかる。そこからこれまで数多の貧困に陥った人を取材して来た人の働けない理由の意味を、自身が疑似体験する。 そして著者が理解したのは、正常な脳の人にとってこの現象が非常に理解困難だということ。自身が以前は「正常側」にいたからなおさら理解は難しい。2025/01/25

Yuma Usui

32
『最貧困女子』の著者が、高次脳機能障害を負った経験から、「健常者の脳」では捉えきれなかった視点で貧困問題に迫った一冊。脳に不具合を抱えるようになったことで、かつて取材していた当事者たちの言動をより高い解像度で理解できるようになったと語る。「やる気がない」と見なされがちだった人々が、実は脳の機能的制約により行動が困難だったという現実を、当事者の視点から描いている。『ケーキの切れない非行少年たち』に通じる視点で、「努力不足」と片付けることの危うさ、そして誰もが当事者になりうるという可能性を提示しており印象的。2025/04/21

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