内容説明
人生、終盤にさしかかれば、心身にガタがくるのは自然の定め。しかし、いまや六十になっても、なかなか「老人」とは認めてもらえず、やれ「生涯現役」だ、「アンチエイジング」だと、世間は喧しい。もう一花咲かせる気力や体力はもちろんないが、残り時間は、なるべく不幸せでなく埋めていきたい―そんなささやかな願いはどうしたらかなえられるのか?自らの老いの真情を吐露しつつ問う、枯れるように死んでいくための哲学。
目次
序章 あと二十年も生きなくてはならない
第1章 「生涯現役」のマヤカシ(六十歳は不変の節目;それでも仕事はしたほうがいい ほか)
第2章 年寄りは年寄りらしく(いい加減にしろ、全共闘オヤジ;私が自殺をしない理由 ほか)
第3章 老いてなおしたたかな女たち(老いにも通過儀礼を;桐野夏生『魂萌え!』のリアリティ ほか)
第4章 長生きなんかしたくはないが(老いてはじめて得られるもの;五十代から老いる練習を ほか)
著者等紹介
小浜逸郎[コハマイツオ]
1947年、横浜市生まれ。横浜国立大学工学部卒業。批評家。国士舘大学客員教授。教育、家族、ジェンダー、仕事、倫理など、現代人の生の課題を正面から問い続け、幅広い批評活動を展開。2001年より連続講座「人間学アカデミー」を主宰する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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団塊シニア
46
団塊の世代の作者の10年前の作品、同じ団塊の世代として共感できる内容である、10年後の現在作者がどんな思いで生きてきたか、現在の心境を知りたい。2016/02/20
テツ
21
悩み苦しみは常に自らを責め苛む。だから毎日毎日を溌剌と「生きているって素晴らしい!」などと叫びながら過ごすことなど出来ない。だからと言って積極的に死を望むほど追い詰められている訳でもない。それを踏まえた上でこの自分という存在とどう向き合い人生をやり過ごしていくのか。僕自身は肉体も精神も老いてしまうのはまだまだ先のことだけれど、いつか訪れる最終期を想像し日々を生きることは大切なのかもしれない。2018/03/07
わんつーろっく
16
団塊世代の著者が59歳、12年前の出版だが、すでに「命長ければ辱多し」と、長生きは素晴らしいという社会通念は偽善だと本音で語っている。生涯現役とかアンチエイジングだと喧しいが、残り時間は、なるべく不幸せでなく枯れるように死んでいきたいという哲学、なるほどなるほど。三田誠広氏や寺島実郎氏に対して、いい加減にしろ全共闘オヤジ!懲りない幻想を抱いて煽るなと手厳しい。が、そこが面白い。著者が横浜市教育委員会の委員だったことを知り、俄然興味を持った。2019/01/30
阿部義彦
14
いかに老いるかを考察した本。著者の立場としては、歳をとれば色んな事が出来なくなるのは当たり前、アンチ日野原重明と言ってます。衰えを受け止めて生き方上手より諦め上手になりましょう。どうあがいても「若さ」には勝てない、みっともないぞアンチエイジング「元気老人」目指してどうする?「高齢者に若さを!」ふざけんな!恥を知れ。という事。私も赤瀬川原平さんの「老人力」のファンなので、あるがままに自分を受け入れて違いを楽しむ位の余裕とユーモアが欲しいですね。真面目一本槍では逆に悲壮感漂よう眉間に皺の寄った老人になりますよ2015/09/25
ぬらりひょん
12
私の心情にぴったりで、何ともキャッチーなタイトルだったので借りてみました。ついこの前まで人生80年と言われてたように思うのに、いつの間に100年になった?あと20年、何すりゃいいのやら…がもうあと20年も伸びちゃって途方に暮れています。(ただし、明日死ぬかもしれんけどね)だから社会のお荷物にならないように働け働け「生涯現役」って言われているようで、反発したくなる。働いて忙しいときは、暇になったらあれもしようこれもしようと思っていたのに、いざ暇になるとなぁ〜んもしたくない。2022/02/07
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- 和書
- 総理大臣竹下登