内容説明
夜の浜辺。刑事の俺は上司の経堂に呼び出され射殺。結婚を間近に控え成仏できず幽霊となった。誰も、恋人すら俺の姿が見えない。霊媒体質の後輩・早川刑事を除いては。彼の力を借り真相を探るうち経堂が密室で殺された。俺を謀殺した黒幕が他にいる!(表題作)他に早川刑事のスピンオフ作「幻の娘」を収録。恋愛と本格ミステリが融合した傑作。
著者等紹介
有栖川有栖[アリスガワアリス]
1959年大阪府生まれ。同志社大学卒業。大学在学中は推理小説研究会に所属し、89年『月光ゲーム Yの悲劇’88』でデビュー。2003年『マレー鉄道の謎』で第五六回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
73
物凄く面白かった一冊でした。自分が殺された真相を幽霊になってしまった本人が解明していくという内容、元部下だった霊媒師の血を引く若い刑事とのコンビの迷推理の数々を読み進めながら何度クスッとしたことか。そして、彼女との心の繋がりの確認場面の熱さな等でページを捲ることが楽しかったです。で、しっかりとミステリーとして読者を楽しませてくれました。それから、何度も電車を乗り過ごしそうになった一冊でもありました。何冊かこの作家さんの本は読んでいるんですが、どの本も面白かったので、もう少し積読本に追加しようと思います。2022/03/19
かめりあうさぎ
45
殺された刑事が成仏できずに幽霊になって捜査をする、というファンタジーミステリ。設定が変わっていても、有栖川先生らしい伏線や謎解きは変わらず、安定の面白さでした。基本的に刑事捜査モノですが、恋愛要素も加わってちょっと切なかったり、バディもの要素もあったりで読みやすいと思いました。最後に表題作の後日談的な短編『幻の娘』が収録されていてそちらも含めて完成形という感じでした。2019/11/27
kagetrasama-aoi(葵・橘)
38
読書メのレビューで、「新版幽霊刑事」にはスピンオフが載っていると知り、購入、読了。本編「幽霊刑事」を読み、またまた涙しました。そしてスピンオフの「幻の娘」を読み、早川刑事に惚れ直しました(o^O^o)。本編でも男気溢れる素敵な刑事さんですが、一層良い男になっています。決意が感じられて、感動的です。早川刑事シリーズ「霊媒刑事」が実現しなかったのは残念ですが、「幽霊刑事」はノン・シリーズの傑作として心に仕舞っておきたい作品だと納得しています。同趣向の「濱地健三郎シリーズ」を期待して読みたいです。2021/04/21
雪
32
無念の死を遂げた刑事が幽霊として蘇り、後輩刑事と共に真相を探る・・・というあらすじを見たときは、失礼ながら幽霊ものかあ・・とあまり興味を持てなかった。ところが読み始めるとこれが面白い!悲しい状況のはずなのに思わず笑ってしまうコミカルさと、胸にぐっとくるような切なさが絶妙。ミステリーとしても満足の一気読み。図書館や古本には『幽霊刑事』のみの版しかなく迷ったけれど、スピンオフの『幻の娘』も収録されているこちらを購入して正解だった。2019/01/19
さよちゃん
26
久しぶりの有栖川さん。とても分厚いけれど面白かったので一気読み。設定はある日突然殺された刑事が、幽霊と姿を変えて舞い戻ってくる。というファンタジーチックな設定だけど、さすがは有栖川さんです。あっちこっちに張り巡らせてあった伏線が終盤にほほぉ〜!と思わず唸ってしまった。見事に騙されました。参りました。2020/08/11