内容説明
開店から1年5ヶ月の史上最速で、ミシュラン三つ星を獲得したシェフがいる。大卒で企業に勤めた後、料理学校に通い、26歳で仏料理店の門を叩いた遅まきのスタート。しかし塩1粒、0.1度にこだわる圧倒的情熱で、修業時代から現在に至るまで不可能の壁を打ち破ってきた。心を揺さぶる世界最高峰の料理に挑み続けるシェフ・米田肇のドキュメント。
目次
第1章 できれば、ドアの取っ手の温度も調節したい。
第2章 彼には偉ぶったところがどこにもなかった。
第3章 少年時代の夢は『いちりゅうの料理人』。
第4章 すべてを自分の仕事と思えるか?
第5章 ハジメ・ヨネダは日本のスパイである。
第6章 これで完璧だと思ったら、それはもう完璧ではない。
第7章 店が見つからず、通帳残高がゼロになる。
第8章 フォアグラを知らないフランス料理人見習い。
第9章 『Hajime』予約の取れない店になる。
第10章 人が生きて食べることの意味。
著者等紹介
石川拓治[イシカワタクジ]
1961年茨城県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、フリーランスライターに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Salsaru
17
正直ここまでの覚悟は、なかった。同じく、サラリーマンやめて料理の世界に足を踏み入れ、フォトグラフィックメモリのため、どこで働いても空気のように働くと重宝がられた。ただ、明確なビジョンも夢もなかった。身体壊して、オフィスワークへ戻った自分は、辞めて本当によかったと思う。彼のような思いがなかった。逆に、彼のような人がいるということが、すばらしい。食べる側を楽しみたい。2017/06/26
baboocon
14
単行本で読んだときもこの米田肇という男は凄すぎる、と鳥肌が立ったが、文庫で改めて読んでもゾクゾクした。幼い頃の将来の夢、空手に明け暮れた若き日々、料理人としては遅まきのスタート、日本とフランスでの凄絶な修行…。レストランの扉のノブの温度にまでこだわりたいという狂気すら感じる探究心。いつかは彼の店で、その精髄が凝縮された一皿を味わってみたいものだ。2017/04/29
シン
8
三つ星レストランのシェフの物語です。とても良い文がたくさんあって、これから自分がしていくこととの共通点や参考になる部分がたくさんあった。物事を突き詰めるプロセスが明確に書いてあります、決して真似できるようなものではないけどこういう人間になりたいって思いました。主人公の父からの手紙の、「夢見て行い 考えて祈る」わたしも大好きな文章になりました。2017/08/05
マッキー
7
エンジニアから料理人へ転身した、ということで興味を持っていたが、先日レストランの予約を取ったのでますますこのシェフの事を知りたいと思うようになった。読んで素晴らしいと思ったし、読む前より行くのが楽しみになった。米田さんの追求する料理と対峙したい。2020/06/08
ゆうこ
7
去年HAJIMEで料理を頂く機会があり、その創造的な仕事に興味を持ったので、読んでみました。コース料理を頂いたというよりは、一つの舞台を見たようなそんな気持ちになるお料理でした。2019/02/27