内容説明
天下統一へ突き進む織田信長の命を受け、播磨平定に乗り出した羽柴秀吉は、別所長治の抵抗に合い、戦国史上稀にみる悲惨な籠城戦を引き起こす。その最中、終戦工作のため秘かに城中へ送り込まれていた女間者の希久は悲惨を極める戦況を前に究極の選択を迫られる―。絶望の淵に射し込んだ一条の光を哀感溢れる筆致で描く著者渾身の歴史ロマン。
著者等紹介
玉岡かおる[タマオカカオル]
1956年生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。87年「夢食い魚のブルー・グッドバイ」で神戸文学賞を受賞しデビュー。『お家さん』で第二五回織田作之助賞大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐々陽太朗(K.Tsubota)
83
武士(もののふ)の生きざまは死にざまに現れる。切支丹の女間者・希久の目を通して、滅びゆく別所一族を深く愛惜しつつ描いている。戦国という変革の怒濤の中で、別所氏は覇者となるべき者を見誤った。その代償は「死」。己が死ぬだけではない。自分の判断が配下の者、ひいてはその家族もろともの生死を決するのだ。名門の出にこだわり最後まで新興の秀吉に負けたことを認めることが出来なかった別所吉親、家臣とその家族を思い自らの首と引き換えに周りの者の安泰を秀吉に願い出た別所長治。リーダーはどうあるべきかを考えさせられた一冊でした。2017/08/23
まさ公
3
地元の人間には天子様も天下取りの戦も関係ない。豊かに安心して暮らせるのが一番。ずっと覚えていてもらえるのはいい領主・一族だったからなのでしょう。2022/07/30
YH
2
面白かった。戦国の時代の男と女の生き方。全ての登場人物が愛しく輝かしく生きてそして大事な何かのために死んでいく。敵味方なく、登場人物は皆んな魅力的だった。もっと沢山の人に読まれて欲しい。2017/07/21
はちがみっつ
0
別所一族の滅亡についての時代小説。 間者として入り込んだ主人公がまさかの側室に。 長期戦の干乾し作戦の残酷さは、戦国時代といえども卑怯極まりないが、それも時代か。 作者さんはまさに地元出身、書き出すまでは長く、書き出したら短い。芯が強い女性を書かせたら作者は素晴らしい。 南兵衛が生きててほしかった。2020/06/26
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