内容説明
生まれつき「念じると物に火をつけられる」特殊能力を持つ紅藤は、そのせいで、自分の父親を殺してしまう。以来、心を閉ざし誰ともかかわることなく、警察官として日々を過ごしていたが、突然、刑事課への異動を命じられる。待っていたのは、氷室という、警視長まで上り詰めたにもかかわらずヒラ署員として勤務する刑事。彼は紅藤と同じく特殊能力保持者であった。コンビを組んで仕事をすることになった紅藤は、ある日、雀荘で一人の美少女に出会う。その後、殺人事件の現場にも居合わせた彼女を見た氷室は、特殊能力保持者だと紅藤に告げる。彼女はいったいどういう能力を持っているのか?そして、彼女が巻き込まれた殺人事件の行方は?『神様のメモ帳』『楽聖少女』で大注目の著者による、切ない恋愛ミステリー。
著者等紹介
杉井光[スギイヒカル]
1978年東京生まれ。『火目の巫女』で第12回電撃大賞“銀賞”を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coco
36
タイトルの意味がわかった瞬間、胸が詰まる。思わず何度もページを行ったり来たりしてしまった。人との関わりを避けていた主人公・紅藤の変化を思うとさらに胸が詰まる。氷室や署長のこととか、色々謎が残ったままだけど、これで終わりなのかな?とモヤモヤも少々。。2015/08/20
よっち
34
生まれ持った発火能力で父親を殺した過去を持ち、目立たないように警官として過ごしていた紅藤が破天荒な上司・氷室に引き立てられて刑事となり、特殊能力を持った少女・海月と出会う物語。刑事ものとしては杉井作品らしいだけでわりと凡庸な印象でしたが、能力のせいで孤独に生きてきた紅藤が、同じように生きてきた海月とお互いを理解してゆく過程がとても不器用で、終盤で明かされてゆく彼女の能力がもたらした奇蹟の連鎖が意味するところは、何とも切なかったですね。タイトルやなぜ警官になったかの問いが最後に効いてくる構成は秀逸でした。 2015/03/16
しゅてふぁん
22
生まれつき特殊能力を持つ刑事の紅藤と、迷惑極まりない上司の氷室が、殺人現場に居合わせた少女ミツキの謎と事件の真相を追う。氷室と紅藤の掛け合いがおもしろい。そして、花園署の面々は濃い。きっと、仕事の出来る集団に違いない…多分(笑)恋愛ミステリというほど、恋愛の部分は印象に残らなかったなぁ。署長と氷室が花園署に配属になった理由が明らかになってないし、続編があったりするのかな。2016/08/07
Yobata
21
生まれつきどこでも火をつけられる特殊能力を持つ紅藤は警察官になるものの誰とも心を通わさずに日々を過ごしていたが、ある日突然刑事として新宿署に異動を命じられる。その管轄内の雀荘で出会った一人の少女は、どこか自分と同じ目をしていて…。切ない恋愛ミステリ。今回の杉井作品は刑事もの。だけど主人公の紅藤はなんでも燃やす力を持ち,かつて実家を焼き父親を殺してしまったという過去の持ち主。そんな彼が同類だと称する氷室に引っ張られ、その管轄内で出会った少女ミツキも父親を亡すという同じ境遇の存在でミツキの謎めいた儚さや→2015/02/11
くれよん
20
初読み作家さん&初ラノベ。特殊能力を持つ警官の紅藤と事件現場に居合わせたミツキ。彼女もまた別の特殊能力を持ち、過去の事故を苦悩し続けていた。偶然出会い心開ける同士になるかと思ったが儚く切ない6秒間。上司の氷室の真の姿がわからないままだったのが続編への誘いか。ちょっと物足りなさが残った。2024/12/17