内容説明
パリで往年の大女優が絞殺された。両手首を縛られ現場で拘束されていた重要参考人リオン・シャレットは「神様が殺した」と警察で証言。彼は同時にその神の名前として僕の名を挙げた。が、僕に身に覚えはまったくない。リオンはかつて大学の寮の僕のルームメイトで、当時から多くの人をその美しさで幻惑した。僕は卒業以来2年半、一度も会っていない。容疑者の特定はおろか、なんの手がかりもないまま、やがて起こった第2の殺人。ミラノで有名ピアニストが絞殺された。またもや現場には皆睡したリオンがいた。インターポール(国際刑事警察機構)に勤務する僕は、現地の警察と連携しながら、独自に捜査を始める―。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
1957年、愛知県生まれ。作家、工学博士。国立N大学工学部建築学科で研究をする傍ら96年に『すべてがFになる』で第一回メフィスト賞を受賞し、作家デビュー。以後、次々と作品を発表し、人気作家として不動の地位を築く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えむ
76
レオナルド・アンペールは大学の寮でリオン・シャレットと同室だった。リオンは男なのだが女性のような美人だった。大学を卒業して3年後、殺人事件が起きリオンはレオナルドが殺人者だと証言する。森博嗣さんのシリーズもの以外では初読。レオナルドが犯人を追い詰めるまで全く犯人がわかりませんでした。森さんのミステリーものは初めて。他の本も読んでみないと判断は出来ないが、この作品は犯行の細かな部分が書かれてない分読み易い。しかし殺人の動機が曖昧であり、最後まで結局は真相が明らかにされないのが不満かな。6342013/08/31
藤月はな(灯れ松明の火)
69
男と女という性別と心は常に重なるとは限らない。重ならないものは孤独で常に超越した絶対的な半身を求め続ける。惹かれあう魂は一瞬は重なるものの、すれ違い、埋めようとした齟齬は埋めようとしたことで深刻化するばかり。自分にとって特別な存在を神聖視することは怖くも純真で一途。美しくも恐ろしい存在から神とされることの困惑とそれでも人として相手を想う気持ちは同一ではないが、どちらも真。題名の客体がどちらになっているかで違った意味にも取れそうなのも意味深。2013/08/09
kishikan
60
幻冬舎創立二十周年記念特別書下ろし作品ですか。うーん森さん、こうきましたか。ヨーロッパ、台湾、日本と転戦しながらの、007風ハードボイルド風ミステリ、森さんにしちゃちょっと異色だし、凝り過ぎ。物語は現代ものなのですが、何か時代を感じる仕立てですね(ちょうどポアロのDVDを見ていたせいもあるけど)。最後のどんでん返しは、ひねっているけど、ミステリ好きには想定の範囲かもしれません。坦々とクールに流れるストーリはらしさを感じますが、いつもの作品の裏に隠れている主張というかメッセージが今回は感じられませんでした。2013/09/08
@
54
儚くて、触れれば壊れてしまいそうな繊細さ、そして現実離れした美しさを持つリオンに、すべての人が翻弄されてしまったのではないでしょうか。そして最後まで読んで、やっと「Dieu aime Lion」の意味が理解できた気がする。なんとも破滅的な愛情だなぁ。彼を神様だと信じ、崇め、恐れたリオンの心境とは一体どのようなものだったのだろうか。全体を通して複雑な人間関係の中起こった連続殺人試験に見えて、きっと本当はもっと単純な想い故に、おこったのだろう。そしてそれは他人からは簡単に計り知れないようなものなんだろうな。2014/07/28
Yuna Ioki☆
51
ラストはそうきましたか(^=^; 一瞬レナルドが精神的な病気があって、そのせいで殺人を犯していたのか?!と思わせておいて思いもよらない人間が犯人…。でもこれを映像化すると犯人はバレバレのような気がしないでもない(笑)文字だけでは伝わらないというか、あえて表現されていない部分が重要なファクターだっんだもんな(^=^;2013/12/21
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- 和書
- D坂の殺人事件 春陽文庫