内容説明
2005年4月25日朝、JR福知山線尼崎駅付近で起きた列車脱線転覆事故は、多くの犠牲者を出す鉄道史上未曽有の大惨事となった。衝突時の惨状、死に直面した恐怖、生き残ったことへの心の葛藤、そして支え見守る家族の思い―あの日、あの電車に乗り合わせた乗客とその家族29名がつづる壮絶な記録。
目次
福田裕子
谷川会美
玉置富美子
島原直子
加藤慶子
木村仁美
小椋朋子
小椋聡
鏑木真樹
久田宏〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
83
心をえぐられたようだった。次から次へと、福知山線脱線事故に遭われた方々の証言が続き、そのどれもが例外なく痛々しいというレベルを遥かに上回る凄惨さで、序盤は何度読むのを止めようとしたか。私は鉄道会社で、決算や予算の策定に携わっている。「なぜ自分だけ助かってしまったのか」と悩ませること、そしてこのようなページをめくるのも辛い本が出版されることのないよう、安全への設備投資などの面で、自分にできることをやっていきたい。最後まで読み終わり、そう思った。2015/07/14
鈴
34
もう10年以上になるのか。あの映像をテレビニュースでみたときの衝撃は、今も忘れられない。JR福知山線脱線事故での被害者と、その家族の手記。助かったらそれでハッピーエンドというわけではなく、みんないろんな思いで傷ついている。被害者の気持ちに同調してしまったからなのか、今回この本を読むのにとても疲れてしまい、珍しく安眠できなかったりした。そういえば運転士のご家族はどうしているのかなという思いもあった。もしもこれを読むことがあるとしたら相当辛いだろう。2016/01/18
sashawakakasu
4
このような圧倒的な体験をすると世界の見え方ががらりと変わるんだろうな…。読んでてつらかった。洗濯機の中にいるようだった、が強烈だった。2022/10/03
バトルランナ-
4
事故を風化させないために企画された本とのことでした。大賛成です!この事故107人も亡くなってたんだ!(20人位での記憶になってました!)実はこの事故の1週間前の4月19日(火)午後4時JR尼崎ホテルの喫茶店で商談していました。ここは犠牲者が運ばれてきた所です。(僕の記憶では前日だったんですけど!)JR西日本の事故後の対応は皆さんも忘れていませんか?事故後に乗り合わせていた社員に教護を指示していなかったこと。置石が原因と先走った説明をしていたこと。大事故を起こしたその日にボーリング大会や宴会を行っていたこと2013/08/05
アーク
3
100名以上が命を落としたJR福知山線脱線事故の車両に居合わせた乗客たちの生の声を集めた本書、何とも痛々しい。事故の瞬間の描写も人それぞれ違うので違う痛みが襲ってくるようだし、怪我の程度も然り。事故から10年も経てば現役世代の記憶も薄れてくるし、事故を知らない世代も増えてくる。JR西日本の社風が起こしたこの人災を忘れないためにも、存在に意義がある一冊。2016/02/06