内容説明
その庭は、荒れほうだいの庭だった。その庭が、心をこめて手入れをされると…遠くから、不思議に清々しい風がわたってきた。それは、幸子の心の中にも、さわやかに吹きこんできた。日本児童文学者協会第5回長編児童文学新人賞受賞作。
著者等紹介
本多明[ホンダアキラ]
1954年、東京生まれ。明治大学文学部卒業。詩集『虹ボートの氷砂糖』(花神社)で第57回H氏賞候補。『幸子の庭』で第5回日本児童文学者協会・長編児童文学新人賞。季節風同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
64
自然の再生力に、人の「心」を注ぐ。気付くと、”見上げている”幸子がいる。木々を、空を、そして自身を!剪定の音がキッカケとなり、最後の一押しが、久子曾お婆ちゃんの手から伝わる”五感”。田坂と久子が直接・間接的に、幸子と同じ視線になっているのが、幸子の気づきを育む助力。庭を構成する1つ1つのモノが、意味と意義を成す。敢えて1点選ぶのであれば『青木』。”落とし物”は、宝物也!なお恥ずかしながら、枝の種類がここまで多様なのを初めて知りました。また、植物の漢字も興味深い。中でも”隠蓑”!?味わいがあるなぁ。2019/06/30
ぶんこ
48
研究熱心で真面目な若者の仕事ぶりは、読んでいて爽やかそのものでワクワクしました。 田坂さんや市村さんの仕事をずっと見ていたいです。 美しいでしょうね。 庭には縁の無い都心育ちでしたが、2年間だけ小さな庭つきマンションに住んだ事があり、毎日庭を眺めては時間を忘れる程楽しませてもらいました。 庭が人に与えてくれる癒し効果に気付かされました。 庭師という仕事の素晴らしさに感激しました。 学校で辛い目にあって不登校だった幸子さんが、庭が息を吹きかえすにしたがい元気になっていくのが嬉しかったです。 素敵な本でした。2015/11/03
はる
34
引きこもりの少女と、彼女の家に来た優しい庭師とのふれあい。真面目で腕ききの若い庭師が素敵です。仕事の合間に草木のことを少女に教えてくれるのですが、これがとても興味深い。読みながらワクワクしてしまいます。ラストのお祖母さんとのやり取りも爽やかで、いいお話でした。ただ語り手がコロコロ変わるので、戸惑ってしまうのが惜しいですね。表紙の絵も、もう少し可愛いくても良かったのでは。2015/10/26
ふみえ
7
とても勉強になった。植物の名前なんてほとんど知らないので、ネットで調べ、これみたことあると感動しながら読む。道具も用途に応じて色々あるんだな。庭のイラストが欲しいところ。2021/02/08
timeturner
7
いい話だなあ。鍛冶屋や植木屋といった職人の世界の奥深さ、遣り甲斐が伝わってくるし、樹木にまつわるトリヴィアも興味深い。何事かに真剣に取り組む姿はまわりの人間も変える力があるんだと思った。これからは街路樹を見る目も大きく変わりそう。2019/07/01