出版社内容情報
ニューヨーク145番通り、ハーレムに暮らす人々を描く10短編。生きているうちに、いい葬式をしたいからと自分の葬式をする「ビッグ・ジョーの葬式」を始め、「死」という思いテーマを扱いながら、明るい生命の強さを感じさせる珠玉の作品群。 中学生~一般
内容説明
いいことも悪いこともひっくるめて起こる街―ハーレムの街角を舞台にした短編集。
著者等紹介
マイヤーズ,ウォルター・ディーン[マイヤーズ,ウォルターディーン][Myers,Walter Dean]
1937年生まれ。青少年向けにフィクション、ノンフィクション、詩などを多数発表。ニューベリー賞優秀作品、コレッタ・スコット・キング賞、1994年SLJ/YALSAマーガレット・A.エドワーズ賞などを受賞している。ニュージャージー在住
金原瑞人[カネハラミズヒト]
1954年岡山県に生まれる。法政大学英文学部専攻博士課程修了。現在、法政大学教授。東京都在住
宮坂宏美[ミヤサカヒロミ]
1966年生まれ。宮城県出身。弘前大学人文学部卒業。会社勤務の後、翻訳、編集、雑誌のライターを始める。児童書サークル「やまねこ翻訳クラブ」所属。海外児童文学の紹介にもつとめる。東京都在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
31
黒人作家マイヤーズによるニューヨーク145番通りでの日常を描写した短編集。住民の半分は働いてないし、銃や薬物が蔓延る物騒な街ハーレムならではのヒリヒリした物語と思いきや、中年男の突拍子もない企みだったり、10代男子のドタバタ恋愛劇であったり、理想と現実のほろ苦い乖離であったり、勇気ある行動に偏見ある行動等々、我々にも馴染みある普遍的なストーリー、肌の色や国境を越えたテーマを丹念に描いていて読ませてくれる。どっしりとした読後感はないけれど人生の複雑な楽しみは教えてくれる、まさにYAにはうってつけの短編集だ。2018/04/27
くさてる
17
ニューヨークのスラム街に住む人々の生活を描いた連作短篇集。YAなので読みやすく、しかし内容はシビアで、やりきれないところもある。けれど、読後感は悪くない。どんな環境でも人間はだれかとつながりを持ち、それは良いことをもたらすときもあればそうでないこともある、そんな人間の普遍的な真実を描いているからかも。良かったです。2020/05/06
星落秋風五丈原
17
「ビッグ・ジョーの葬式」では、他人の葬式に感動したビッグ・ジョーが自分の葬式をやってもらおうと考える。語り手の僕は、面白がるが常識人のビッグ・ジョーの恋人や、その娘は大反対。あの手この手で止めさせようとする娘の作戦と、本当の葬式だと思っている大人達との行動のギャップが面白い。しかし、嘘の死がセンターラインにあるこの作品には、本当の死がすぐ側にある事を示すように、近所で人が撃たれたと、本当に何気なく描かれている。2003/03/24
ぱせり
15
ひどい街だ、怖い街だ、と思うけれど、ごく普通の人たちが、ごく普通に暮らしている。そして、(驚いたことに)この貧しさの塊みたいな町で、少年や少女は弁護士や医者を目指したりもする。この短編集、同じ人間の葬式で始まり、結婚式で終わる。逆ではない。同じ人間の、「葬式」で始まり、「結婚式」で終わるんだよ。作品の並びの粋なこと。作者からのウィンクみたいで、素敵だ。 2017/11/27
onion
4
ストリートの人々の悲喜こもごもが感じられる短編集。子どもが死んだり何ともいえない話もあるが、苦しみも深いけど喜びもまた深い。「モンキーマン」「あるクリスマスの物語」が好き。2011/11/22
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