オーストリア綺想小説コレクション<br> 廃墟建築家

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オーストリア綺想小説コレクション
廃墟建築家

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  • サイズ B6変判/ページ数 467p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336076809
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

出版社内容情報

世界の終わりを目の当たりにした語り手は、廃墟建築家の設計した葉巻形の巨大地下シェルターに誘いこまれる。そこで彼が夢みるのは、カストラートの七人の姪が代わる代わる語る不思議な物語。もしかしたらこちらが現実で、葉巻シェルターのほうが夢ではあるまいか。
『サラゴサ手稿』風の語りの入れ子構造を持ちながら、次々繰りだされる挿話の渦は、その枠さえなしくずしに解消してしまう。音楽への愛にあふれ、オーストリア・バロックの粋をこらした魔術的遠近法。


【著者紹介】
ヘルベルト・ローゼンドルファー

1934年イタリア、ボルツァーノ近くの町グリースで生まれる。年にミュンヘンに移住。舞台美術家を目指したのち法律家に転身し、ミュンヘンの区裁判所判事およびナウムブルクの上級地方裁判所判事を歴任。主な小説作品には『廃墟建築家』(69)、『中国の過去への手紙』(83)、『黄金聖者あるいはコロンブスがヨーロッパを発見する』(92)があり、他に歴史書や伝記などにも健筆をふるう。また作曲も手がけた。2012年没。


【訳者紹介】
垂野創一郎

1958年、香川県生まれ。東京大学理学部卒。訳書にペルッツ『夜毎に石の橋の下で』『ボリバル侯爵』『スウェーデンの騎士』(国書刊行会)、『アンチクリストの誕生』(筑摩書房)、マイリンク『ワルプルギスの夜』(国書刊行会)、ボルヘス/フェラーリ『記憶の図書館 ボルヘス対話集成』(国書刊行会)、バルドゥイン・グロラー『探偵ダゴベルトの功績と冒険』(東京創元社)、編訳書『怪奇骨董翻訳箱 ドイツ・オーストリア幻想短篇集』(国書刊行会)など。

内容説明

廃墟建築家が設計した葉巻形の巨大地下シェルターに世界の終末を逃れて避難した主人公。そこで彼が夢みるのは、カストラートの公爵の七人の姪が代わる代わる語る不思議な物語。幾重にも入り組んだ枠物語のなかで、主人公は夢と現実の境界を行き来し、時に見失う。『サラゴサ手稿』をも凌ぐ物語の迷宮を構築し、オーストリア・バロックの粋をこらした魔術的遠近法。

著者等紹介

ローゼンドルファー,ヘルベルト[ローゼンドルファー,ヘルベルト] [Rosendorfer,Herbert]
1934年、南チロル地方(北イタリア、ボルツァーノ)のグリースで生まれる。39年にミュンヘンに移住し、43年にはオーストリア・チロル地方のキッツビューエルに疎開、48年に再びミュンヘンに戻る。ミュンヘン美術院で舞台美術を学んだ後、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学法学部へ進み、法曹界入り。ミュンヘンの区裁判所判事、ナウムブルクの上級地方裁判所判事などを歴任。法律家としての仕事の傍ら、長篇小説を発表。その他『ドイツ史』全六巻、伝記、エッセー、戯曲、旅行ガイドなど多くの著作があり、作曲家としても活躍した。2012年死去

垂野創一郎[タルノソウイチロウ]
1958年、香川県生まれ。東京大学理学部卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

吉田あや

50
アリスの白兎ならぬ小アインシュタインに導かれるのは、終末を逃れ避難する為に作られた葉巻形の巨大地下シェルター。位相偏差により不確かで毀たれた時の中で聴く、名前が音階になっているカストラートの公爵の七人の姪の不思議な話は、夢の中の夢のように幾重にも重ねられた物語になっており、半透明のレイヤーをスライドさせていくかの如く滑らかに移動し、別の階層だったはずの物語はいつの間にかその分かれ目を解き、時に驚きと共に混じり合っていく。ひとつひとつの幻想的な物語の面白さは勿論だが、(⇒)2025/02/06

rinakko

9
素晴らしい。頗る好みで隅々まで堪能した。不思議な物語が幾つも詰まったこの奇妙な“物語”は、列車のコンパートメントでのひょんな出会いから始まる(チェスタトン好きに嬉しい導入部)。のだが、あれよあれよと場面も状況も変わり、浅い夢の連なりを潜ってより深い夢へと墜ちてゆく眩暈感に包まれっぱなしだった(悪夢の如き展開にも魅入られていた)。終始音楽に溢れているのも楽しくて、オーストリアらしさと“バロックの軽さ”を味わえて大変満足だ。廃墟建築顧問官と機械仕掛けの侏儒、巨大葉巻シェルター、引退したカストラートと七人の姪…2024/12/27

pushuca

3
凄まじいばかりの読み応え。2025/05/18

氷沼

2
告知されるまで殆どの人が知らなかったであろう、オーストリアの作家による一冊。 冒頭、現実から夢へとシームレスに場面が代わり、次から次へと入れ子構造で奇想といえる夢物語が展開される。 解説の中で竹本健治『ウロボロスの偽書』が出てくるが、それは単に入れ子構造の説明をするためだけで、作風は全く似ていない。 また、様々な小説作品の名前や展開、音楽家の名前が出てくるあたり、博覧強記というかペダンチックというか、好みだった。 「綺想」を謳うだけあって人を選ぶシリーズだとは思うけど、劈頭を飾るに相応しい作品だと思う。2025/04/23

三月うさぎ(兄)

2
開巻、600人のルルド詣の尼さん列車の座席下から「奇商クラブ」の小アインシュタインが現れ警察に追われて語り手のわたしにパンチ穴の空いた暗号を押し付けて消えていくとそこは湖に続く庭園の小道をピルエットで踊りながら出現した年配の紳士ダフニスと機械仕掛けの二人の侏儒8の字が語る魔女ベルタの物語…。といった感じで、最初はえらい敷居が高く感じる。このままなんにも理解できないまま読み進んでいいのか? 何かきちんとした背景理解や前提知識がないと無理なんじゃないか?→2025/01/24

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