内容説明
ル=グウィンがトールキンらと並べ名文家として名を挙げた、ケルトの魔法を歌う詩人にして神智学者である作家、ケネス・モリス。ダンセイニよりも神秘主義的と評されるその幻想小説を百年の時を経て集成した本邦初の単行本。
著者等紹介
モリス,ケネス[モリス,ケネス] [Morris,Kenneth]
1879年、ウェールズ生まれの詩人・作家・神智学者。1908年アメリカに渡り、神智学コミュニティで歴史と文学を教えながら、詩、論文、小説等を執筆する。ウェールズの伝承物語マビノギオンを題材とした長編The Fates of the Princes of DyfedとBook of the Three Dragons、トルテカ神話を基にしたThe Chalchiuhite Dragon、そして東西の神話や伝説に独自の解釈を加えた短編は古典的ファンタジーとして評価が高い。晩年はウェールズに戻り、1937年に逝去
館野浩美[タテノヒロミ]
1972年神奈川県生まれ。翻訳者。自身のウェブサイト影青書房でフィオナ・マクラウド、ケネス・モリス等のケルト幻想文学の翻訳を公開中
中野善夫[ナカノヨシオ]
1963年アメリカ合衆国テキサス州生まれ。立教大学理学研究科博士課程修了(理学博士)。英米幻想小説研究翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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グラコロ
17
東へ西へ、古代から未来へ、変幻自在のまるで万華鏡のような短編集。たまにはこんな典雅で格調高い超美文を読んで、乱れまくった緩みっぱなしの居ずまいや襟を正したい。2023/10/28
かもめ通信
17
是非読みたいと思っていた本を、書評サイト本が好き!を通じていただき、美しく幻想的な風景に魅せられながら旅をし、文字が奏でる音楽に耳を傾ける至福のときをすごした。2020/11/05
星落秋風五丈原
16
昔の神話の登場人物が沢山出てきます。2020/10/30
ズー
15
神話をベースにした話が多いと知り、読んでみたのだが…。神話の雰囲気は好きなんだけど、そもそも詳しくなかったので、長ったらしい名前とか、本来の神話を知っていたらたぶん楽しめそうなとこも楽しめず。かなり読み終わるのに苦労した。とはいえ、真ん中あたりぐらいから慣れてきたのか?だんだん楽しめるようになってきた。中国ベースの話は分かりやすくて楽しめたかな。2020/12/16
ハルト
8
読了:◎ 別世界に心飛ぶような、幻視的な短編集。詩人で作家で神智学者ということで、その眩惑的な世界観は、うつくしく妖しく神秘的。ケネスの独特の世界を描画した作品たちや、既存の物語をケネス風にアレンジしたもの。音楽からインスピレーションを授かり産まれた物語や、中国の古典を仕立て直したりと、趣向も色々。うっとりとファンタジー世界に浸りたいときにうってつけの本。物語が詩へと変容し語りかけてくる。2021/03/01