内容説明
20世紀最大の魔術師にしてカリスマ的アーティスト、クロウリー自らが執筆し商業出版したことで大きな話題を集めた小説。出版当時、毀誉褒貶相半ばし、『ユリシーズ』と共に「「汚物と猥褻物」以外何も見あたらぬ」とも批判され、クロウリーがイタリアから国外追放となる原因ともなったが、悪名に反して理智的かつ道義的であり、自身をモデルにした登場人物からその実像が浮かび上がる点でも注目される、クロウリーの代表的著作である。麻薬文学の系譜に燦然と名を刻む名著。
著者等紹介
クロウリー,アレイスター[クロウリー,アレイスター] [Crowley,Aleister]
1875‐1947。イギリス(イングランド)のオカルティスト、魔術師、作家、詩人、登山家。ケンブリッジ大学在学中に「黄金の夜明け団」に入団。その後世界各国遍歴の旅に出、神秘主義結社を開設して数多くのオカルティズム文献を著述した
植松靖夫[ウエマツヤスオ]
上智大学大学院博士後期課程修了。現在、東北学院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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井月 奎(いづき けい)
32
皮膚表面は焼かれるような熱さに苛まれて、体の内面は凍るように冷たい。苦しみは事実で本物、快楽は遠い夢の中の出来事。麻薬が先取りできる快楽の量はその人の体力の量しかありません。単純なことなのですがその単純なことに理解が及ばないのです。関節は軋み、擦れるごとに激痛を伴い、時間の感覚も前後して、自らの存在もあやふやになります。思考は千々に乱れて、乱れた千々の一つ一つに苦しみは植え付けられるのです。天使の羽根のように白くて綺麗な粉は人を徹底的に破壊します。心と体が同時に狂い、破壊される様子は滑稽で醜悪です。2018/03/18
もよ
13
同じテンションを保って2/3まで来た。しかも、そう来たか!とうならせる小説的な手腕もすばらしい。最後はどうなるのか...2018/03/04
a.k.a.Jay-V
3
1からの天国篇からのリレー。一気にキメたせいか、バッドトリップ。いや、このギリギリ感がかなりドープ。まるでそれを望んで(HOPE)いたかの様。コカイン詩人のナスティーなポエトリーが追っかけて来る。ヤバいくらいアツい。2018/02/26
ぽよぽようと
1
モノローグを担当できる程度の知性を失ってしまったピーターに代わって、第2巻は日記くらいなら書けるルーが担当。文字通りの地獄篇だが、最終章で自殺未遂を行なったピーターを看病するルーのシーンはなんだか素朴な良さがあった……2018/04/25