内容説明
吉屋信子の“乙女小説”を厳選するコレクション、第二巻。寄宿舎を舞台に、二人の“処女”の愛と尊厳を描き上げた信子の原点というべき重厚なる半伝記小説。その内容故に、現代まで「禁断の書」として秘かに語り継がれた物語の真の全貌を、今、時空を超えて明らかにする。大好評、岳本野ばらによる解説・註釈も更に充実。
著者等紹介
吉屋信子[ヨシヤノブコ]
1896年(明治29年)新潟県生まれ。10代より雑誌投稿を始め、20歳の時不朽の名作『花物語』を「少女画報」に発表、“女学生のバイブル”といわれベストセラーとなる。以後少女小説から純文学まで幅広く執筆。昭和27年、『鬼火』で第4回日本女流文学者賞を受賞。昭和45年、紫綬褒章を受ける。昭和48年、鎌倉に病歿
岳本野ばら[タケモトノバラ]
京都府生まれ。美術、音楽、演劇、雑貨店店長など様々なジャンルでの活動を経て、フリーペーパー『花形文化通信』の編集に携わり、執筆活動を開始
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
井戸端アンジェリか
11
屋根裏って響きにソワソワドキドキするのはなぜでしょうか。楽しい秘密が隠れているような心持ちがします。 この本にも隠れてましたふたりの処女が。信子センセの作品はまだほんの数冊しか読んだ事がないけれど、大抵は精神的なモノだったのにこちらはあらまあ!でございました。ふふふのふでございます。 嶽本野ばらさんの註釈がとても面白く、正直申し上げますとそちらの方がより楽しく思ってしまいました。2015/06/17
ゆきだるま
3
周りになじめず細かいこと深いことを考えてしまう、こんな主人公にはつい共感を覚える。気持ちの拠り所となる人がいてよかったな。二人はどんな大人になるんだろう。 舞台が「屋根裏」とか、引っ越してテーブルを買うとか、絵としてよかったシーンがたくさんあった。 2020/06/23
ni-ni-
3
やたら工藤さんの印象が残ってしまった。彼女がメインで百合だったらもっと面白かったのに…なんて思ってしまった。主人公の章子がなかなか無気力な人なので、ちょっと慣れるまで苦労した。秋津さんと絡みだしてからは、テンポ良く読めたかな。最後はいつものように悲恋かと思いきや、希望ある終わり方でホッとした。野ばら氏の解説はちょっと余計。エスとレズビアンをそこまで区別したがる理由が分からない。2010/11/09
壱片時乃
3
吉屋さんの代表作とされる一冊ですが、『花物語』や『わすれなぐさ』とは少々趣が異なり、こちらから入った方は読みにくさを感じるかもしれません。短編の『返らぬ日』のような文体です。特に序盤は展開が遅く、退屈に感じる人もいるかと思います。ただ後半からの盛り上がりからは、純粋に読み物として楽しめます。部分的な文章はくどいことが多いですが、作品のテーマは決して押しつけがましくなく、自然な感動とともに読者へ提供されます。2010/02/20
めめ
2
前半の冗長な文章、独りよがりの文章が少ししんどかったです。最初の方は飛ばし読みして、最後まで読んでから最初に戻ると、割とするすると読めました。屋根裏という秘密めいたわくわく感と暗くじめじめした感じ、設定づくりがうまいなあと思いました。2022/03/23